
写真集なら当たり前のところもあるが、「高精細印刷」だ。
印刷は紙に打ち込んだインクの網点で出来上がっているが、高精細印刷は通常印刷の2倍以上の密度で網点を打ち込んでいる。
高精細対応の為、元データは16bit原寸350dpiの解像力を求められており、見開き用なら1枚の写真が300MB以上、
ヤワなパソコンなら一発でフリーズする巨大データになる。 実際風太郎の古いパソコンが途中でぶっ飛んで、冷や汗をかいたものだ。
最終的に8bitグレースケールに変換するから大分小さくなるけれど、本全体で10GBを超えるデジタルデータが凝縮されることになる。
ちなみに画像の尖鋭度をデジタル技術で上げる「アンシャープマスク」は元データ提出段階では適用せず、
製版技術者が一枚一枚の様子を見ながら適用量を決めるという、これも印刷現場の職人的マジックになる。
校正刷りを見れば、旧客の窓辺に座る老人の、頬の皺の一本一本、トライXの粒子まで鮮明に出ていて、してやったりと思うところはある。

ここまで追い込みをかけると逆に心配になって来るのが、そもそも撮影時点でのレンズ性能は確かだったのか、という問題だ。
全ての写真の撮影はオリンパスOM-1、もちろんZUIKOレンズで、まあ押しなべて破綻の無い描写ではあると思う。
しかし心許ないのが「ZUIKO28mmF3.5」の描写だ。 OMZUIKO極初期の玉で、40年以上前に中古で1万2~3千円だったと思う。
当時の財力ではそれしか買えなかったのだ。 ひとつ上に「F2」があったが高峰の花だった。
なんとモノコーティングである。 マルチコーティングならレンズに映る光の粒が七色に光るはずだ。
とにかく逆光に弱かった。 ゴーストは派手に出るし、内部乱反射によるフレアーが掛かれば、明らかに解像力全体が落ちた。
そもそも鉄道の写真に広角レンズなんぞ必要かという時代だったから、この程度でいいやと広角レンズをナメていたところもあったと思う。
しかし当時の鉄道写真の常識に背を向けた結果、そのオールドレンズが意外や主役になって、この写真集が出来たというのも皮肉なものだ。

2020年に大阪のオリンパスギャラリーでミャンマー写真展をやった際、年配アマチュアの方が銀塩オリンパスで撮ったミニ写真展をやっていて、
いろいろ話す中で、「いや28mmF3.5はZUIKOの銘玉ですよお。」と言う。 明るさを欲張っていない分、設計に無理がないのだと。
確かに順光下で、こいつあ神レンズかと思えるような切れ味を示したことは認める。 しかし全ての局面で優等生ではない暴れ玉でもあった。
高精細印刷は、そんな切れ味も「やるせない甘さ」も、両方掛け値なしに見せてしまう。
ゴーストはフォトショで消せば、という意見もあったけれど、敢えて残すことにした。
現代の平均的優等生レンズとは違う、半世紀近く前のレンズのクセ玉っぷりを、そのまま見せるのも時代の映し絵らしいと思ったからだ。
それもまた、「是非本を手にして」、目を皿のようにして、言わんとするところを確かめて欲しい。
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間もなく彼の国に雨季がやって来る。
ひとたびスコールが来れば市場さえ川のようになる様を見れば、
履物としてサンダルが常用される理由が分かったものだ。
インパール作戦は、雨季に入る前に終わるはずの甘過ぎる見通しが泥沼の悲劇を呼んだ。
戦場の在り様は今も変わらないはずだ。
ミャンマーの軍事クーデターに抗議します。
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大村線 千綿 2017年
沈む太陽とジャストオンタイムな通過は計算通りながら、そこに防波堤。
もっと下ればいいのか。 そもそも5月も半ばの棚田に水が入っていないのが計算外。
勝手分からぬ九州に、リベンジに行きたいなあ。
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いすみ鉄道 西畑 2019年
線路を覆う緑のカーテンを透かして、もう夏の陽が覗くのだった。
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小湊鉄道 上総川間 2017年
水面の映り込みは、理論的に偏光が除去されているので実景より鮮やかと聞くが。
風が止まったグラデーションを愛でる、列車待ち。
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わたらせ渓谷鐡道 上神梅 2015年
花木には疎いけれど、春を謳うはヤマボウシかな。
乾いた木枯らしに震えた上州の里にも、たおやかな春。
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