さらば三江線

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   三江線 香淀   2017年







今月末の廃止に向けて三江線が最後の時間を刻んでいる。

昨秋の訪問は昨日のようだけれど、やがて沿線は錦秋に彩られ、そして豪雪に閉ざされた。

二度と相まみえる事のない季節は巡り、そしてまた春がやってきた。







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  江平






やがてその痕跡すら山野に埋もれても。

無数に残されたデジタルの記憶は永遠にその息遣いを伝える。

それを愛した人々の想いと共に。


開業記念に植樹された川戸駅の老桜は88年目の春を迎えた。

いつになく早咲きのそれは今際に間に合うばかりか、満開に咲き誇っていると聞いた。







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  川戸









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[ 2018/03/29 23:32 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(4)

江の川紀行 その11   時代のテールランプ

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   三江線 江平   2017年10月






この国からローカル鉄道というものが消滅するまでどの位の時間が残されているのだろう。

あと20年? 10年? もっと早いか。

小休止に山岡山さんと語れば言葉に詰まる。

確かに言えるのは、我々がその終焉を見届ける確率は極めて高いという事だ。


日本の片隅にまで遍く人の暮らしと産業があった頃、鉄道は必然から生まれ、その津々浦々までレールは伸ばされた。

やがて世は移ろい、鉄道の必然に誰もが疑いを持つに至っても、その建設は止まることは無かった。

そして今、少なくとも地域の生活輸送を担うインフラとして経済合理性を担保するに限界点を超えた時代になった。


時代の記憶をデジタル画像が半永久に記録するならば。

今を生きる我々がローカル鉄道とそれが走った地方社会の最後の在りようを次の時代に伝える事、

それは過去をないがしろにせず今を見詰め直す為の記録であり、歴史の彼方に消えてゆく正負の遺産に対するレクイエムと信じたいのだ。


かつて江の川を行き来した川舟が消え、それに代わった鉄の路も静かに幕を下ろす。

変わらぬ山河は次に何を見るのだろう。

ひとつの時代の終わりを告げるテールランプは、ひっそりと山蔭に遠ざかる。




( 江の川紀行  おわり )






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[ 2017/11/20 20:00 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(8)

江の川紀行 その10   88年目の桜

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  三江線 川戸   2017年10月







江津にもほど近い川戸駅は1930年4月、三江線最初の着工区間の終着駅として誕生、故に線内では最も古い駅のひとつである。

多分江の川水運の川港として栄えたのだろう町並みと共に、趣のある木造駅舎が残っている。

今は使われなくなった対向ホームの先には、開業記念に植樹された桜が87年の歳月を重ねた枝振りで鎮座している。

駅を行き交う人々に季節の移ろいを伝え続けたであろう老木に、既に始まりつつあるのはひと足早い紅葉。

来年3月末の廃止と同時にこの駅の歴史も閉じられる。88年目の花は、その今際に間に合うだろうか。








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[ 2017/11/18 21:55 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(12)

江の川紀行 その9   忘れられたレール

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   三江線 口羽    2017年10月   







1975年開業の鉄建公団建設部分は、気前良く奢られた鉄橋やトンネル、高規格線路を利した高速運行が行われている。


今、三江線を利用する地元民はほぼ皆無という。

それはご多聞に漏れぬ話ながら、ローカル線の主役とも言える通学高校生の姿さえ疎らなのは。

沿線の公立高校自体が生徒数の減少で存亡の危機にあるところが多いのだが、

近隣校同志生き残りを賭けた生徒の奪い合いさえ起こっており、その際の決め手が「スクールバス」らしく。

駅までの送り迎えさえ不要なスクールバスを導入すれば一気に生徒が流れる実情にあって、三江線は高校生からも忘れ去られたという事だ。

単行でさえ持て余していた三江線の列車に最近2両編成が多いのは、廃止のニュースが報じられて以降、

乗り鉄さんで溢れているからだという。皮肉に過ぎた話である。







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   信木



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   長谷






今から30年前、国鉄改革の先兵として全国津々浦々まで伸びたローカル線が次々と廃止になっていった。

でもそれらは昼間の運行こそガラガラなれど、朝夕は満席になる程の通勤通学客がいた。

それが細やかながら地域の生活を支えていると思えたからこそ良き被写体にもなり得たのだが。

現代に生き残っているローカル線よりも遥かに乗客の影が濃かったように思うのもまた、歴史が与えた苦い皮肉だろう。



めぼしい観光資源もない沿線に運命を打開する策は尽きたか。三江線の冷徹な現実である。






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   香淀






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[ 2017/11/16 20:11 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(6)

江の川紀行 その8   宇都井駅

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    三江線 宇都井   2017年10月





これは日本の「珍百景」に数えられるべきだろう。

1975年の全通時に開設された宇都井駅である。

高さ20mという橋梁上に作られた駅。これが本当の「橋上駅舎」だ。

老朽化した団地の様な建物の中にはエレベーターが収められているなどと勘違いしちゃいけない。

全部で116段あるそうだが、6階分位ある階段をエッチラオッチラとひたすら登るのだ。(途中で「あと何段」と励ましてくれる)

バリアフリーなど糞食らえである。

もう暫くすると駅全体がイルミネーションで飾られるそうで、これには周辺に最近目立つという熊もビックリだろう。






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この珍奇な駅はどういういきさつで生まれたのか。秘密はこの周辺のダム計画にあるらしく。

宇都井の集落全体が水没するようなダム建設構想が当時存在し、付け替えの無駄を省くつもりだったのだろうが、

線路は極力高い位置に敷設されたそうで。

宇都井はそこそこの集落なので駅のニーズはあったというより政治的な匂いもするが、

谷間にあるそこに駅設置となればこういう構造は必至だったようだ。

周到なようで何か順番が違いませんかというのは後出しジャンケンの戯言だろうか。






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やがてこの駅も「遺構」に変わる。

いや道路や施設を跨いだ構造物は危険防止の観点から撤去が原則だそうだから、その痕跡さえ残らない可能性がある。

ある時代を黙して語るモニュメントとして残したい気はするけれど。







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[ 2017/11/14 21:24 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(4)