カメラ職人とOM-1

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小学生から撮っていたという剛の者も少なくないこの趣味の世界。

風太郎が初めて自分のカメラを買ったのは、大学入学も果たした18歳の春と極めて奥手だったのだが。

そのカメラはオリンパスOM-1で、当時としてはキヨミズの舞台から飛ぶような買い物だったから値段もよく覚えている。

プラックボディが定価54.000円。 当時のカメラの買い方は店頭での値引きネゴが必須で、25%強位は引かせたとは思う。

最初のレンズは50mmと135mmの単焦点2本のみ。 ささやかな出発だったが、1980年代の写真は全てこれで撮った。


前説が長くなった。 40年間故障知らずだった、そのOM-1が壊れたのである。

この手の機械式カメラは時々空シャッターを切らないと内部が固着すると聞いていたので時々触っていたのだが。

ミラーが上がったまま戻らない。 何度か切ると元に戻るが繰り返しである。

思い出は多いカメラだから、こっちの寿命が尽きるまで完動品であって欲しいから修理に出す事にした。

以前風の噂にオリンパスは部品がある限りこのカメラの修理を受け付けるという話も聞いた気がするが、

このご時世にあまり期待しない方が、また可能だったとしてもお値段が怖いというのもあり、敢えて確認もしなかった。

ネットで見つけたのは、西武線は新井薬師駅最寄りの修理屋さん。






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小さな店内に作業机ひとつ、風太郎より若い位の店主がひとりで黙々とやっている店である。

事情を話すと「それはミラーがどうこうよりシャッター幕がちゃんと走っていない可能性がある」。

ならばシャッター精度も狂っているはずとその場で測定機に掛ければ、1/1000が1/500しか出ていないとの事、

やはり内部のグリース類の固着らしい。

修理としては分解による各部点検整備、具体的には①各部清掃・注油②モルト類全て交換③シャッタースピード調整

④銀電池用アダプターの装着・露出計調整 (このカメラの露出計用電池は元々生産中止になった1.3Vの水銀電池仕様。

アダプターを介して現在の1.5V銀電池仕様に変えるのだが、そのままだと電圧の違いから露出が1.5段も狂うのでその調整も行う。)

更にはこれは気が付かなかったがプリズムの一部に腐食があるとの事。

交換しますかと言うから出来るのかと聞いたら、部品取り用に入手したボディから調達するという。いやいや。





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ところでお値段は・・・とビビリながら聞いたら、修理代26,000円、プリズム代が6,000円という。 

安い。すげえ安いと思うが。 程度の良い中古が買える値段だが思い出はプライスレス。

OM-1の復活をこのおっちゃんに託す事にした。 但し納期は三ヶ月くれ、 一人きりだからと。


先日引き取り。 聞けば内部は大分錆も出ていたという。 いや往年の愛機が蘇って良かった、いろいろ愛着があるのでと話したら、

使い込みはカメラの底板に出ます、その辺の歴史は充分感じましたとの事。

まだ試し撮りもしていないが、孤高の職人の技に間違いは無かろう。


ブログ紹介大歓迎との事だったので。 機械式カメラなら余程のオールドカメラで無い限り受け付けるようだ。

店主の一日一善ならぬ一日一台修理日記ブログもなかなか味わい深い。 2月20日付の「OM-1Nの巻」はどう見ても風太郎のカメラ。

小型軽量故に繊細に詰め込まれた機構部は「油断ならないカメラ」なんだそうな。


東京フィルムカメラ修理工房

「店主のブログ」




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マンダレイの線路市場。

此処でもデモ隊と警官隊が衝突、実弾の発砲も。

それでも変わらぬ毎日が今もある事を願う。


ミャンマーの軍事クーデターに抗議します。


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[ 2021/03/03 20:08 ] 写真道具 | TB(0) | CM(0)

ああ銀箱

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銀箱買いました。

と言っても最近のトリテツ君たち、分からなかったりしないだろうね。 「アルミ製でハードな造りのカメラバック」ですな。

とにかくデカイんです。 全長42cm、全幅25cm、重さ3.4kg。 収納物を全部詰めたら12kgになりました。

おめぇ馬鹿じゃねえの、こんなの担いでテツやる気かという声はごもっともですが、

これは自宅では機材保管箱、いざ鎌倉の際は車のラゲッジにどっかり据えた前線基地という用途なんですね。

最前線では此処から小型バックに適宜必要な機材だけ移して出発です。

従来その用途に使っていた大型ソフトバックがボロボロになり、中身の緩衝材があちこちから飛び出してくる事態になって、

その後継という事なのですが、場合によっては飛行機の預け荷物にもなる可能性を考えると、なるべくハードなケースがいいかと。


此処からは回想モードに入りますが、風太郎の若い頃は「銀箱にあらねばテツにあらず。」という時代でした。

一度人に連れられて行った復活蒸気運転の際、ボックスシートのみならず、網棚、通路、あらゆるところを銀箱が占領していた光景が目に浮かびます。

それらはことごとくデコレーションされており、色とりどりなブルトレとか「エル特急」とかのHMステッカーはど定番なら、

英数字のステッカーを一枚づつ丁寧に貼った、「EF5861」とか。

ああ日本国有鉄道最後の日々は銀箱と共に在り。


そういう「属性」への反発を旨として、風太郎は天邪鬼にも銀箱そのものを拒否しておりました。

いやそれは詭弁であって、銀箱は高かったのと、全てが徒歩の撮影行にあってあの重さは耐えられないと踏んでいたのです。

で、使っていたのはボール紙の芯にビニールレザーの外皮を貼り付けたような、軽いだけが取り柄の安物でありました。

「踏み台に使える」という銀箱の利点だけは羨ましく、止むに止まれぬ場面でボール紙バックの上に乗ったらベコリと凹みました。


それから幾星霜、すっかり廃れて今や絶滅危惧種になった銀箱を今更買うのも相変わらずの逆張りモードですが、いろいろ感慨もあり。

どれ踏み台にしてみようかいと、天板に足を掛けたらじわりとたわんで、よく見たら「乗るものではありません。」との注意書きが。

最近のはヤワになったのか、いや昔と比べて4割増しの体重が悪いのか釈然としませんが、

リヤゲートの向こう、万年床の上にピカピカ光る存在感。 (寝る時は運転席に移動させます。)






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[ 2021/01/04 21:27 ] 写真道具 | TB(0) | CM(4)

御神体

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歴戦のプロ機材のいただきものだ。

ニコンF2用のモータードライブMD1とバッテリーMB1。

電池は単3を10本も使用、以前戯れに中古で買ったF2ボディに装着すれば全重量はレンズ無しでも1800gオーバー、

最近のD6とかだってデカイ重いが、それをも軽く凌駕する圧倒的な存在感は「御神体」と手を合わせるに相応しい。

背には何やら意味不明なレバー類やらツマミ類やらが並んでいるが、当時のマニュアルをネットにUPしてくれる人もいるから助かる。





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左からフィルム室裏蓋開放レバー、これを起こして左に60度。その右は自動巻き戻しレバー。

真ん中のツマミは秒間コマ数の設定で、秒1コマ~4コマ (ニッカド電池使用なら最速5コマ)。

緑色の数字はそのコマ数設定で撮影可能な最も遅いシャッタスピードを表している。

その右はフィルム残枚数を表示するカウンターとリセットレバー。

全てをカメラが勝手にやってくれるほど親切じゃ無いのだ。






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装着に当たってはボディ底部のフィルム室底蓋を外して給送部に噛ませる。

遮光性は大丈夫なのかと思うが、そこは精度の高い加工が担保しているのだろう。

当然ながらフィルムを装填したままモードラを外したら一瞬で感光してオシャカである。 プロはそんなドジは踏まぬものを前提としている。

F2ボディの底板には「裏シャッターボタン」があって、モードラ側の小さな突起が連写コマ数に準じたピストン運動をして裏シャッターを押し上げる仕組みだ。

バッテリー収納部は仏壇ならぬ観音開きが御神体らしくて良し。





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電池を10本突っ込んでレリーズすると「バシッ、ギューン、バコッ」と凄まじい作動音だ。

昨今の電子部品の塊のようなカメラの、風のような高速連写に慣れた身には異次元の感触。

全てがプリミティブかつ精巧な「機械仕掛け」である。

ライカとかの見様見真似から始まったのだろうが、日本人が練り上げ世界シェアのほとんどを押さえた「カメラ工業」。

カチリカチリと感触で信頼させる金属部品、無機質だが機能に徹したデザインは「用の美」に通じる。

スマホなんぞ太刀打ちできないその伝統技術の蓄積と、出て来る写真のクオリティを多くの人に分かって欲しいと思う。

しかし昨今跳ね上がった銀塩写真コストにあって、10秒足らずでフィルム1本が弾切れになってしまうのは痛過ぎる。

よってあくまで「御神体」として奉るに留めようと思う。





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[ 2020/07/25 20:07 ] 写真道具 | TB(0) | CM(8)

鳥の眼 宇宙の眼

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まるでナスカの地上絵のようだが、これはミャンマーはラーショー線の雄大なスイッチバックとオメガループである。

ビルマ平原のどん詰まりに屹立する山の斜面を2段のスイッチバックで這い登り、

その山の背後に回って更にスイッチバックと勾配緩和曲線が連続する。

その様が手に取るように分かるが、この全貌は車窓からはなかなか窺えない。線路際の木立が深過ぎるのだ。

黄色の丸の位置に信号場がある。 これはそこで撮った写真に記録されたGPSログを航空写真にプロットしたもの。







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スイッチバックの途中にあるその信号場に到着する。

全く人気の無い山中に見えて、下の拡大写真で分かる通り数軒の建物がある。

これは鉄道員の官舎だろう。それ以外にこの山中に住む理由があろうか。

一日わずか一往復の列車をおかみさん達が出迎え、子どもたちが学校へと乗り込み、様々な生活物資が降ろされる。

信号場の右側に細々とした道があってこれは麓の町まで続いているようだが、普段あまり用をなしているようにも見えない。

信号はともかく、ポイントの遠隔操作はしていないようだ。信号場から遠く離れたポイント脇に独り立つ転轍手を見た。

外界から隔絶された鉄道員とその家族の暮らしのありようを想う。





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もともとズボラな風太郎は撮影地点を記録するのが面倒臭く、後で困る事が相次いだのでその解決策としてGPSを導入したのだが、

国内ならともかく海外の見知らぬ土地での撮影位置を宇宙からの電波で精密に特定し、

鳥の眼で俯瞰出来るというのは実に興味深く、こんな場所で撮ってたかと感心してしまう。

そしてこれ程面白いGPSなのにカメラが高級になるほど冷遇されているのは解せないところだ。

もともとニコンの別売り純正品を付けていたのだが、接続コードがうざい上に傷みが出ており、新品に更新しようとしたら製造終了との事。

スマホのGPSとリンクさせて云々なんて代替案は、そんな面倒臭くて不確かな方法でやってられっかての。

困った挙句、Aokatecなる中国製のロガーを海外通販で取り寄せれば使える、

しかもカメラのソケットに直接装着できるので実にコンパクトと聞いて。





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送料込みでUS50ドル位だったと思う。 純正の半額以下だ。

前面のピカピカ光るLEDは変に目立つのでビニールテープで封をしてある。

テープが脇まで回っているのはそこにあるレリーズコード用のソケットの防水を兼ねているからで、三脚派もご心配なく。

今のところ快調に動作してるし位置情報も10m以下の誤差しか無いから充分使える。

撮ってきた写真を上から眺めてニヤニヤ反芻するのもなかなか一興である。

また街中の安くてイケてる飲み屋にもう一度行ってみたいと思っても、方向音痴に加え相手が外国では絶望的だったりするが、

GPSログはピンポイントで連れて行ってくれる。 また中生60円のビールが飲めるぞ。






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列車は進んでまた呆れるようなオメガループの先にあるのは、高さ100mを超えるゴッテイ大鉄橋だ。

その袂にある金色のお寺は、お立ち台にするために開山された訳でもあるまいが。





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[ 2019/07/19 19:43 ] 写真道具 | TB(0) | CM(8)

メンテは抜かりなく

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風太郎がかれこれ10年近く愛用しているニッコールの16~35mmF4Gは、

小型軽量に加え当時は珍しかった「広角の手振れ補正」が何とも心強い。

広角に手振れ補正など要らんだろと思ってる奴はミャンマー鉄道にぶち込みたい。

常時震度4か5クラスの車内で補正が無かったら手振れ連発だろう。 

狭い車内だけに超広角の引きも不可欠で、MVP級の活躍をした。


接点の汚れでもあるのかごくまれにAFが効かなくなる事がある以外は不具合も無いのだが、ニコンのSSに定期点検に出すことにした。

サービスメニューに「定期メンテナンス」というのがあり、分解まではしないものの工場に持ち込んで

解像力、AF精度、手振れ補正他の精密検査と、必要に応じた再調整までするとの事。

お値段はこのクラスのレンズで税別8000円と決して安くはないものの、安心料と思っている。

なぜなら別のレンズだが落っことして分解修理に出した後、解像力が以前より見違えるように良くなっているのを経験しているからだ。

相手は精密機器だけに経年変化というのも実際あるはずで、それを侮ってはいけないと思う。

巷を賑わすレンズ画質に対するテストレポートだの口コミだのに汲々とするのは、まず本来の性能が出ている事が前提だろう。


しかしあくまで定期健診なので、検査の結果治療が必要です、料金は・・・という宣告電話の恐怖もあるのだが、幸い無事に帰って来た。

「ゴムリングに傷みが・・・」というのは要らぬお世話で、擦り減ったそれを歴戦の勲章という。

神棚に上げてお祀りするものでもあるまいし、ハードに使い倒されるのがレンズの本望でもあろう。


気分も新たに愛玉を覗けば、そこにまたミャンマーの大地と人いきれが見えるというものだ。

また行っちゃおうかなー、という準備でもあるとは、まだ言わない事にする。










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  ミャンマー国鉄 マダヤ線   2018年





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[ 2019/04/05 22:39 ] 写真道具 | TB(0) | CM(2)