新得の夜

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   根室本線  新得   1984年



当時、宿泊費の節約のため夜行列車で同一区間を往復して一夜を明かすという、考えただけ

でも疲れるような旅を若さに任せてしていた。根室本線の「まりも」は深夜2時半位に新得

で交換したので、そこで下車し、逆方向に乗リ替えて翌朝再び釧路に戻る算段。


新得は道内でも最も気温が下がる駅のひとつだから、デッキからホームに降りると刺すような

寒気に眠気も吹っ飛ぶ。それでも風太郎はタダでは起きないから、長い停車時間を利用して三

脚を据え、バルブを開いた。


放射冷却の夜、-30℃を下回る気温だったろうと思う。構内は鉄道の要衝らしく信号が鮮や

かに灯り、水銀灯を受けてダイヤモンドダストがきらめく。DD51のアイドリングと共に、

空中の水分が凍る音が聞こえて来るような深夜の新得が、今も目に浮かぶ。



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「風太郎の1980年田舎列車の旅」




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