
黒い僧衣に編み笠。旅の僧に出会ったのは、「ライダー祭り」の会場。
もちろんライダーでは無いのだが、今夜の寝床を探しに筬島駅まで来たところ、テントの群れにびっくりして
来たらしい。自ら「怪しい坊主」と称する30歳前後くらいの穏やかな好青年だ。
もう全国を徒歩で行脚しているという。今回はオホーツク沿岸を北上、最北端を廻って国道40号線沿いに南下
する途中と聞いた。寝るところはバス停か無人駅。「旅とは?」と禅問答を仕掛けたら、「うーん修行・・でも
無いな、何だろ、よく分かりません!」と軽くいなされてしまったが。
お遍路という訳でもないそうだが、北辺の地を歩いていると「私、ここに死にに来たんです。」というような
人にも会うという。「死にたければ地元で死ねばいいでしょう。何でここまで来て、私の様な者に声を掛ける
のか。まだ現世に未練があるんじゃないですか。」と言ってやるのだそうだ。
翌朝、音威子府周辺を車でうろうろしていると、国道40号線を歩く僧と何度もすれ違い、挨拶を交わした。
日中は気温が上がり、陽炎が揺らめくアスファルトをひたすら歩き続けるのは、俗人としてはやっぱり修行そ
のものに見えてしまうが。
きっと今も北海道のどこかで歩き続けているに違いない。
「旅で見知らぬ人と出会い、楽しいひと時を過せるのは、その人が日頃積んでいる徳の報いなんです。そう思いますよ。」
合掌。
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「風太郎の1980年田舎列車の旅」
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