大いなる旅路

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三国連太郎逝去の報に接し、風太郎にとって忘れられない主演作。

1960年公開。三国連太郎が盛岡機関区の機関士を20歳前から55歳に至るまで演じ切った。

国鉄が全面協力とあって、当時の現役機が出るわ出るわ、三国はこの映画のため本格的に

機関士の訓練を受けたらしいから、そのリアリティも素晴らしい。

日々の仕事にダレ気味の若い機関助士が乗務中の脱線転覆事故に遭遇し、機関士の殉職を

目の当たりにして改心、地道で真面目、時に頑固な機関士生活に励む。

家族を持つが折からの戦争にも翻弄され一筋縄に行かず、妻子と共に波乱万丈の人生行路となる。


有名な機関車の転覆シーンは8620型を実際に転覆させたもので、三台のカメラで追ったらしいが、

横倒しになった機関車がカメラの寸前まで迫るのも見て取れ、一発勝負と共に結構命懸けの撮影

だったと思う。今風のCGではやっぱり出せない本物の迫力。

これは昭和19年に山田線で実際に起きた事故をモチーフにしており、虫の息の機関士が壊れて止ま

った鉄道時計を掲げて「これが事故発生時刻だ。」と言ったのは実話だそうな。


終戦後、労働運動華やかりしと機関車に大書したアジスローガンや機関区内のジグザグデモも描かれる。

いくら時代の象徴風景とはいえ、国鉄全面協力でありながらこういうシーンが登場するのは、

労使問題が泥沼化する以前の、まだのんびりした古き佳き国鉄時代の物語。

主人公のやんちゃ時代とはいえ、制服のまま大酒くらった挙句の大立ち回りや、どう見ても二日酔い

状態で乗務が悪びれもせず登場するのは時代の大らかさか。風太郎的には三国が結婚直前までいい仲

だった飲み屋の女との別れのシーンや、出世した同級生と故郷の母校を共に歩くシーンなど、

直接ストーリーの進行に関係ない場面が味があって好きだ。


全編に流れるのは不器用だが深く純粋な家族愛と、ストイックなまでの真面目さへの賛美。

そしてその真面目さは必ず報れるという個人と社会の約束も見て取れる。

愚直とも思える主人公の半生に心から拍手を送ったであろう、50年前の日本人の心根に触れる佳作。

そんな時代と名優を偲びつつ、DVDでしみじみと見返す一夜。




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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2013/04/23 22:01 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(6)