追悼 高倉健  その2    「ミスターベースボール」

mrbaseball.jpg



追悼特集第2弾。

「番外地」や「ハンカチ」は散々映像が流れるのにコレはまず出ないのは、歴としたハリウッド映画で毛色が違うからか、

作品そのものが駄作っぽい評価があるからか。

そんな事はどうでも良い。我がドラゴンズの監督に健さんがご就任とあっては、これを捨て置くわけにもいかんだろ。


ストーリーは元メジャーリーガー(トム・セレック )が嫌々来日したものの、頑固一徹な健さん監督(星野仙一がモデルといわれている)

との軋轢や日本独特の野球文化とソリが合わず騒動を起こすも、やがて同じ野球人としての魂の共通項を見い出し、

和解していくという、まあありがちな話ではある。

今だから余計感じるのだが、この映画の見所はストーリー云々よりも、名古屋の地元民3万人で本当にスタンドを埋めて

撮影したという「ナゴヤ球場」の描写に尽きる。

電光掲示板など無縁で、その上に鎮座するボールを模した給水槽、ホームランの際のファンファーレ。

そうだそうだったと全てが懐かしく、「ナゴヤ球場の時代」に時計の針を戻してくれる。


いかんいかん、健さんの追悼だった。

ユニフォーム姿が似合ってるかどうかは微妙だが、身長180cmあったという彼の堂々たる体躯は大柄な「外人選手」

と肩を並べても引けを取らないのは流石である。

しかしやっぱりプロ野球選手は華があってこその「ショーマン」だから、本質的に健さんの立ち位置とは微妙なズレがあったかも知れぬ。

健さんに苦悩はつきものだが、この映画では不良外人に振り回され、苦悩というよりヤレヤレ感でコミカルでさえある。

イメージが沁みついた日本の映画人には無理で、ハリウッド流の高倉健理解なのかも知れないし、そういう意味では異色作である。


映画のクライマックス。勝った方がチャンピオンというような、超大事な一戦を迎えたらしい。

そうなりゃ相手は「巨人」に決まっている。でも敗色濃厚なドラゴンズ。

しかし土壇場9回裏、塁は埋まって運命の打者はくだんの不良外人という、まるで映画のような出来過ぎな展開。

ここでぶちかまさなきゃ、この映画は永遠に終わらないだろと思うし、少しヒネリは入るもののハッピーエンドはお約束である。


風太郎的なクライマックスと言えば、9回裏よりも試合開始前である。

普段寡黙で謹厳実直な健さん監督、やおら拳を突き上げて叫ぶのは、「Lets kick ass!」

「どんといこうぜ!」などという間抜けな字幕が入っていたが、

これは「尻を蹴っ飛ばせ!」の直訳か、「ボコボコにしちまえ!」という語感が正しい。

「死んで貰います」に近い、耐えて忍んだ男が放つカタルシス。このシーンだけでこの映画を見る価値があるというものだ。




この映画の公開から僅か2年後の1994年秋。

セ・リーグ同率首位で並んだチーム同志がその最終戦で雌雄を決するというとんでもない事態になる。

中日ドラゴンズVS読売ジャイアンツ。

球史に残る運命の一戦、「10.08」である。 (またの名を「名古屋の悲劇」)  事実は映画より奇なり。


試合前のミーティング。巨人監督長嶋茂雄は、ただ一言「今日の試合は・・・勝つ!勝つ!勝つ!」とだけ叫んだという。

対する中日監督高木守道が、「Lets kick ass!」 と叫んでいたら、歴史は変わっただろうか。



HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

Copyright © 2014 風太郎のPな日々 All rights reserved


「ブログ村」に参加しました。ご訪問の際はポチしていただけると励みになります!
 ↓
にほんブログ村 鉄道ブログ ローカル線へ
にほんブログ村

スポンサーサイト
[ 2014/11/30 13:47 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(4)