
その昔「鉄系」のカメラバックの定番と言えば「銀箱」で、頑丈なアルミ製のそれは踏み台に使えるというメリットもあれど、
いかにもカメラ在中というものものしさは、ちょっとオシャレじゃないなあという感覚もあって。
その点なんとも格好良かったのがTENBAのP595で、報道系カメラマン御用達の超定番。
混乱する取材現場等で金属製バックでは周囲に怪我人も出すだろうから、こんなソフトバックが良かったのかも知れない。
しかし純プロ仕様とも言える構造にはなかなか唸らせるところがあって、生地は防弾チョッキと同じ素材というからどこまでスパルタンなんだ。
ショルダーベルトの造りとかちょっとやそっとでは傷まない拘りがあって、地面を引きずり回すような過酷な現場で愛用されたのも分かる。
問題は価格で確か3~4万円という見事なプロ価格には手が出なかったものの、
かつての憧れのバックが中古屋で5千円位で投げ売られているとなればゲットしない訳にもいくまい。
(昔のTENBA価格だって女性の欲しがるバックの法外な価格に比べれば可愛いものと思うが、
女性サイドから見てこのヨレて埃の溜まったバックに5千円払う男の嗜好も謎だろう。げに男と女の間に流れる河は深い。)
中古市場ではたまに見かけるものの、「現場ユース」の跡も生々しい補修だらけのものはさすがに敬遠するし、比較的程度も良かったので。
(それが格好いいからとぼろぼろの奴も根強い人気があるらしいが。)
初期型は防弾チョッキの生地が服と擦れて穴が開いたという困った事象まで起こしたようだが、
それより後のこれは体側に滑らかなナイロンが貼られてそういうトラブルも無くなったそうだ。

象徴とも言える上ブタの「洗濯バサミ」式の留め金は一見すると使い辛そうだが、咄嗟の開け閉め、特に開けの際のスピードは髄一ではないか。
このあたりがいかにも現場で鍛えられました感があって惚れてしまう部分だし、やっぱり風太郎はジャーナリズムフォトの香りに弱い所がある。
しかしそこはあくまで銀塩時代のバックであって、最近のマッチョな交換レンズ群を納めるには特に深さが足りない点が厳しい。
大量のフィルムを詰めこんだはずの外ポケットは、クッションも無いのでデジタル時代には使い道に窮するところもある。
でもまあこういうモノは気分でもあるから、ヒガハスとかのお気軽日帰り撮影限定で持ち出す事が多い。
三脚の嵐の前で、どうだ分ってるだろーと自慢したい気も無くは無いが、ちっとも関心を持たれないのは悲しい。
時代に置いて行かれつつある名品にはやっぱり銀塩機材が似合うだろーと、やっぱり投げ売りを買い叩いたF2フォトミックと
ケチケチ買い集めたジャンクレベルの古ニッコールと共に記念撮影。

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