Birth of Venus

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ボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」は、「長過ぎる首」「極端に落ちた肩」「不自然な左腕」と、

美神を謳う割には結構歪んだヴィーナスなのだが、そういった人体に対する解剖学的写実が大切にされたルネサンス期の巨匠の事、

分かっちゃいるが正確性や写実性を超えた美の仕掛けを、その歪のあわいに潜り込ませたという事なのだろう。







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以前音威子府の写真展を共催させていただいた東海大学の石塚耕一先生の最新写真展は、ズバリ「 Birth of Venus 」。

奇しくも風太郎の写真展と同時期開催となった昨年もビートルズの楽曲から飛躍するイマジネーションを展開されていたのだが、

今回は写真と絵画の融合というテーマはそのままに名画の再解釈に挑戦。







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女性モデルのポートレートに複雑なデジタル処理を重ねて現出させるのは、街に廃墟にそしてプライベートルームに生まれたヴィーナス達。

階調を飛ばして彩度を抑えたイメージは、デジタル時代を迎えて写真表現の懐が拡がった現代に在っては絵画的とまでは言わないけれど、

むしろ浮遊するイメージとリアルな写実の間を行き来するような、不思議な世界観の演出に成功していると思う。







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以前の写真展では「こんなのは写真ではない。」と酷評もされたとの事だが、

色彩は常にそれが置かれた光の環境に依拠するもので、何が本当の色、写実なのかは誰にも分からない。

豊かな階調性云々も枯れた見方をすれば、「ごく平均的にきれいに見せる」ためのテクニックに過ぎず、

現実の光と翳はもっと荒々しく、あるいは水を打ったように穏やかに在るものなのかも知れず。

そこに織り込まれた「歪」こそが写実を超えたイマジネーションの飛躍を促すのなら、それはルネサンスの画家の目論みにも通じるように思うのだ。


新宿眼科画廊にて13日まで。






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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2017/09/09 22:34 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(6)