宴のあと

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先般の「Railguy」が思いのほか好評だったので、それに乗じて昔の雑誌から面白いものを発掘してみよう。


これは1974年秋発行の「SLダイヤ情報」誌 (もちろんリアルタイムに買ったのでは無く、7~8年も経ってから古本屋で入手したと思う。)、

お題はその裏表紙広告だ。

ずばり「マニアックSL」と題するこの写真集はでかいのなんの、1ページがB全版(1030×728mm)あり、

見開けば2mを超える巨大写真集らしい。 7,300円と当時としては破格のお値段でもある。


しかし。 「マニアによるマニアのための・・・」と謳う割には。

「かつてないスケールであのSLたちが目の前に蘇ります。C58、D-9、D51・・・選び抜かれた写真の一点一点が・・・」

・・・おいっ、「D-9」ってなんだよ。それは多分、「9600」って言うんじゃないのかい!


そして何よりこの広告の主役はD51じゃなく、2人の男達だろう。

汽車なんぞより女の尻を追う方が余程関心があるのだが、その割に一向にモテそうにないシマシマ男。

さらには場末のアングラ劇団の暗がりからのっそり出てきたようなヒッピー 。(これは死語か)

何というか一人一人違うはずの嗜好やら人生観やらは皆何処かに放り投げて、

蒸気機関車という稀代の流行りものに猫も杓子も群がった時代を象徴した広告じゃないか。


「D-9」は単なる誤植の問題では無く、やはり蒸気機関車を知らない人が乾いた商業ベースでしかそれを捉えていない証だろう。

中身まで知らないから迂闊な事は言えないが、写真集の内容も推して知るべしと想像するのだが。


1974年秋か。

当時中学1年の風太郎はドラゴンズの快進撃と巨人のV10阻止に夢中だったなあ。

名古屋に縁もゆかりも無い風太郎がその後半世紀に及ぶドラゴンズ愛に目覚めた年で、それこそ蒸気機関車なんぞ眼中に無かったのだ。

いや気にはなっていたと思う。

でも自分の生活圏からあまりにも遠いところを走る蒸気機関車にどうしてもリアリティが感じられなかったし、

よしんば撮りに行っていたとしても衆のケツにぶら下がり、ただ撮らされた写真になっていたかと想像する。


その1年後に室蘭本線を最後のSL旅客列車が走る。

「SL終焉の日に」 と題した江坂光守さんの 「弔辞」 を読めば、幸多かりし暑き我が夏、というニーチェと共に心に沁みた。

後を追うように直後に早世された氏が綴る、無機質な蒸気機関車に込めた愛情の深さと、それを追った遥かな旅路への想い。

蒸気機関車ばかりではなく、もっと大きくて深い鉄道と旅のロマンというものに、風太郎少年はその期に及んで目覚めたのだ。

それがかっきり 「宴のあと」 だったというのが幸か不幸か。

その後に迎えた時代、すっかり静かになった線路際で、鉄道、そして旅という対象と心静かに自分の目で向かい合えたというのも確か。

それは何かの符丁というか因縁でもあったかと今は思う。





HPはこちら  

「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2020/01/03 00:05 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(8)