ゲージツの世界

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風太郎は中学校の僅か3年の間に、「美術の成績」 について最低点の 「1」 と最高点の 「5」 を両方取ったことがあるという奇特な人である。

無論 「1」 と 「5」 は付けた教師が違うのだが、漏れ聞いたところによるとその違いは 「未完成作品に対する評価の差」 だったらしい。

別に授業中にサボっていたつもりは無いのだが、いろいろイマジネーションが湧くごとに中断するものだからいつでも未完成だったのは事実である。

ミケランジュロは依頼された天井画の制作が遅れに遅れ、依頼人が激怒して足場の上から叩き落されそうになったという故事でも引いて、

「ゲージツに時間制限なんぞ無いんじゃ。」と、どうせなら 「1」 が付く前に噛みつけば良かったと今でも口惜しい。

ちなみにその後、未完成の山に 「5」 を付けた教師は結構真面目に 「キミは美大に行け。」 と焚きつけるものだから、

そういうのもアリかあと高校の授業で美術を選択したら、普通の高校のくせに絵でも描かせたらとんでもなく上手い奴がゴロゴロいて簡単に挫折した。


閑話休題。

昨今何やら 「鉄道写真家養成塾」 と化した感のある 「某大学ゲージツ学部写真学科」 の学生展を見た時の事。

その手の展示となると毎度しゃあしゃあと 「鉄道の写真」 を出して来る奴が必ず居て、

それは良しとしても件の写真が 多分その場に100人居たら100人ともこう撮るだろよという内容だったりすると、

おいゲージツ学部が泣くぜと小言のひとつも言いたくなる。

何にしてもこうも猫も杓子も鉄道状態では、あらゆる職業写真家のジャンルの中で最も需給バランスが崩れるはずである。


今回も案の定だったのだが、ネタが只見線、五能線、津軽鉄道、小湊鉄道と来たら、おやおやと思わずにもいられない。

結論としては結構イケてるように思った。 1年生らしいから尚更よく撮れてる、褒めて遣わすとも言えるのだが、キャプションが気に入らぬ。

「これは僕の遠い記憶の風景である。」って何だよ、21世紀になってから生まれてんだろうが。

只見線も五能線もキミの目の前にある現在進行のリアルなんだよ、若くして 「遠い記憶」 とか借り物使ってるようじゃ写真もだんだん借り物になるぜと。

大概作者本人が詰めているはずだし写真展をタダで見せてもらっている以上、説教ならぬ感想を述べて帰るのが礼儀と思っているのだが、

何やら物言いたげな偏屈ジジイっぽいのが来たと思われたか、遠巻きにされてしまったので果たせなかった。


ゲージツのゲの字にも辿り着かなかった人間がもとより語る身分でも無いが。

せっかくゲージツの世界に片足突っ込んであわよくばそれでメシを食おうと思うなら、少なくとも人と違う事をしようよ、

特に写真をツールにするんだったら目の前にあるリアルの抽象化に逃げずに正面から向かい合おうよ、

そのリアルがいつの日か 「遠い記憶」 として意味を持つまで見届けられるのが、若いキミらの特権なんだからさ。

と、これは偏屈ジジイの独り言です。






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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2020/03/23 20:05 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(4)