
・・・我々を案内してもらいたい。
・・・どこへ?
・・・ミャンマーだ。
・・・戦場だぞ。
「ロッキー」と並んでシルベスター・スタローンの代表作のひとつである「ランボー」シリーズは1982年に始まり、
最近封切の最新作「ラストブラッド」に至るまで全五作が作られている。
難しい事は抜きにコミックとして観れば面白いから風太郎は全部映画館で観ている。
一作目二作目はベトナム戦争が背景になっており、これはまあ歴史の評価も定まりつつあるものだからまだ良かった。
ところが後に困った事になったのが1988年制作の三作目「怒りのアフガン」である。
当時はまだ冷戦下、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻し悪行の限りを尽くしていると見れば、
ランボーは早速助っ人として「アフガンの虐げられた民」を救うため参上する。
共に戦うのが馬に跨ってソ連軍の戦車と渡り合う現地の「イスラム戦士」で、最後は窮地を彼らに救われたりして熱い共闘を誓う。
さてここで賢明な諸兄はお察しと思う。 この「イスラム戦士」とは後の「アルカイダ」なのだ!
アメリカとの対立は年々激化していたのだが、この映画の公開から13年後にはあの「9.11」が起こる。
国と言うよりはアメリカ人個人の正義の象徴ともいえるランボーだが、アルカイダを助けちゃったとなればスタローンも頭を抱えた事だろう。
歴史の評価を待たずに現在進行の時事ネタで映画を作るとこういう事になるという見本なのだが、もはや映画は消せないから始末が悪い。
さすがに「自粛」したのかそれから20年の間ランボーシリーズは作られなかった。 彼のアクションスターとしての貴重な時間も失われたことになる。
それでも満を持してというか禊を済ませたというか、遂に作られた四作目、その舞台がミャンマーなのだ。 2008年公開。

戦いに疲れてタイの片隅で静かに暮らすランボー。 しかしこれを叩き起こさない事には映画が始まらない。
軍事政権下、少数民族に対する苛烈な弾圧を繰り返すミャンマー国軍。 暴力描写においてシリーズ最高とも評されるその悪役っぷりも最強で、
あっしにゃあ関わりのねぇ事でと当初引いてるランボーがいつの間にか助っ人に変わってしまうという流れはいつもの通り。
既にご老体のスタローンはほとんど体を動かさぬ手抜きっぷりなのだが、怒り爆発のまま乱射する重機関銃の前に哀れミャンマー兵は的になるばかり。
物好きな人が劇中で殺したミャンマー兵の数を数えた動画を見たが、1人で300人以上殺したとか。 ワンマンアーミーここにあり。
ロケは劇中の設定と同様にタイ・ミャンマーの国境地帯で実施され、実際にタイに逃れていたミャンマーの少数民族もキャストに参加していたと聞く。
当時のミャンマー政権は当然ながらこの映画に激怒、国内の協力者を探し出して厳重に処罰すると息巻いたらしい。
アウンサン・スーチー女史が軍事政権に一応の幕を引かせたのが2016年だからそれ以前、この地で何があったかは鉄のカーテンの向こうとも言えたが、
ジャーナリストの長井健司さんがヤンゴンの反政府デモを取材中に国軍兵士に射殺されたのが2007年、
カメラを持った者は皆射殺せよの命令が出ていたという。
禁じ手だったはずの「現在進行」に手を付けたのは、まさかミャンマーの少数民族がアメリカの敵にはなるまいという読みもあったのだろうが、
当時のミャンマー軍事政権が絶対悪の象徴として認識されていた事は間違いない。
(続く)
予告編動画
風太郎4年振りの個展です。 18日より大阪展。
写真展 「 ミンガラーバ! ~ ミャンマー・レイルサイドストーリー ~ 」(東京展) オリンパスギャラリー東京 2020年8月28日(金) ~ 9月9日(水)
終了(大阪展) オリンパスギャラリー大阪 2020年9月18日(金) ~ 9月30日(水) 木曜休館
残るは大阪だけになりましたが、ギャラリートークならぬ「作品解説」を9月19日(土)に実施します。
写真に写らないよもやま話を語ろうと思っています。
(東京) ①8月29日(土) 14~15時
終了 ②9月5日(土) 14~15時
終了(大阪) 9月19日(土) 14~15時
空席あり 恐縮ですがオリンパスのユーザークラブ「フォトパス」会員のみ、事前予約が必要な先着10名限定です。
但しユーザーではなくとも会費無料の「ゲスト会員」登録する事により予約出来ます。
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