しまんと雨情  その2    最後のローカル線

予土線2016年10月_11051take1b2

    予土線 半家   2016年







「伊予松山というのは領内の地味が肥え、物実りがよく、気候は温暖で、しかも郊外には道後の温泉があり、

すべてが駘蕩としているから、自然、ひとに闘争心が薄い」 


 ( 司馬遼太郎 「坂の上の雲」より )



と評される伊予の民も、幕末にあたり後先をあまり考えずに佐幕派に回ったが故に朝敵とされ、

土佐藩兵の進駐・占領を受けた事は憤懣やるかたない汚点であったらしい。

その恨みつらみが尾を引いた訳でもあるまいが、狭い四国島内など簡単に鉄路が一周してしまいそうなところ、

愛媛・高知の両県を結ぶ鉄道の実現だけは昭和の終わり近くまで待つ事になる。

1974年全線開通、ある意味歴史上最後に作られたローカル線、「予土線」である。


1970年代に至り地方ローカル線の矛盾は誰もが分かっていたにも関わらず、全国各地で営々と建設が進められていたのは、

容易に方向転換が出来ないお役所仕事の典型でもあれば、政治的利権の産物とも言えよう。

もちろんその開通は永く陸の孤島であった沿線住民の悲願ではあったろうが、

四万十川本流とぶつかる江川崎以遠の建設は容易では無く、膨大な時間と巨費が注がれた。


予土線各駅を見れば「貨物ホーム」がその痕跡すら無い事に気付く。

実際予土線の貨物輸送は当初からほぼゼロであり、あらゆる鉄道の根源的な建設目的だった貨物物流は最初から放棄されていたという事だろう。

線路も簡易線規格が主体となっているようだから、高速の優等列車なども全く想定外だったのではないか。

本来なら1980年に決定された「特定地方交通線」のひとつとして廃止対象になってもおかしくは無かったのだが、

さすがに開通から6年しか経っていない路線を廃止という訳にもいかなかったのか、「沿線道路の未整備」を理由に対象から外された。







予土線2016年10月_11053b








予土線はそれが生まれた時から鉄道交通政策の歴史的な矛盾を背負い続けて来たのかもしれない。

しかし流れた月日は既に42年。二本のレールは四万十川の恵みの上に営々と築かれた風土と、いつしかひとつになった。








HPはこちら  
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2017/01/05 21:06 ] 最近の旅 西日本 | TB(0) | CM(4)

風太郎 様

予土線
高知県高岡郡四万十町の若井駅から愛媛県宇和島市の北宇和島駅に至る四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線(地方交通線)である・・・・・調べてみました

一枚目
川の流れに沿っている線路のように思えます
それが私には心地よく感じられますが・・・・タイトル 最後のローカル線・・・・が気になります

二枚目
十川駅
高知県高岡郡四万十町十川にある四国旅客鉄道(JR四国)予土線の駅である
駅番号はG32
夏場は観光客の利用者もあるが、町内の北琴平町・大正にある高校に通う学生が主な利用者である・・・・調べてみました
照明器具まで年代を感じますね
町内の北琴平町・大正にある高校に通う学生が主な利用者・・・・・その学生さん 撮影されていることを願っています
[ 2017/01/05 21:22 ] [ 編集 ]

困った事に


りらさま

最後に「作られた」ローカル線ですね。
日本の鉄道、特に地方のローカル線は殆どが高度成長期以前、いわば鉄道全盛期の需要に合わせて作られたもので、
道路網の発達による自動車への移行や地方の過疎化により、需要そのものが無くなったにも関わらず作られたローカル線があったんですね。
延々と続くその巨大な土木構造物が訴えるものは。
鉄道の歴史の大きな矛盾ではありますが、山河と共に在る鉄道風景は切なく美しいのです。困った事に。
過疎が深刻な沿線です。学生をはじめ利用客をほとんど見かけなかったのは、土日故だったと思いたいですが。
[ 2017/01/05 22:19 ] [ 編集 ]

謹賀新年

遅まきながら、あけましておめでとうございます。

予土線。たしかに「最後のローカル線」ですね。
国鉄時代、ほとんどの路線を乗車しましたが、無煙化が早く進んだ四国だけは、いまだ乗車していない区間があります。
そのひとつが、ここ予土線。
四万十の美しい風景を生かして、なんとか観光路線として存続してほしいものです。
幸い今年は、宇和島まで赴く予定があるので、その折りには足をのばして車窓を楽しんできたいと思います。
今年も、土地にねざした鉄道のある風景、楽しみにしています。

今年もよろしくお願いいたします。
[ 2017/01/05 22:41 ] [ 編集 ]

際立つローカル色


まこべえさま

こちらこそ本年も宜しくお願いいたします。

四国は無煙化も早かったですが国鉄型車両の淘汰も早く、辛うじて残った40系も風前の灯ですね。
ある種の独立王国なのかもしれませんが「島JR」の割にあまり絶望的な話を聞かないのは、
県庁所在地を中心にそれなりの人口集積に恵まれているからかと。
趣味的に訪れるのは初めてながらそんな実感もありました。

そんな中で予土線は際立ってローカル色が濃いですね。
経営的に厳しい路線に限って素晴らしい鉄道風景に恵まれるのは大いなる皮肉ですが、悪天にあっても堪能することが出来ました。
緑が滴るような季節と天気の予土線はさぞやと。宇和島は「愛媛国体」でしょうか。是非乗ってみて下さい。
[ 2017/01/05 23:46 ] [ 編集 ]

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