寒波襲来 只見線   その5     滝谷の夜

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    只見線 滝谷    2017年1月






吹雪の向こう、夜のホームを除雪する人が微かに見えた。

「大変ですねえ、ご苦労様です。」

「いやなに、慣れた仕事だからの。それよりあんたも好きで撮ってるのかね、それとも仕事かね。」

「まあ、ルポルタージュの取材ってとこですかねえ。( と答える事にしている。) 」

「そりゃあ変な格好は出来ないの。」と笑う。








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話好きな人だった。今夜は柳津温泉に泊まると言うと旅館名を聞き、「あーあそこは汚い割にそこそこ高いな。」

「次に泊まるなら◯◯屋がいいよ。汚いのは同じだけど値段相応だ。滝谷駅で雪かきしてたおじさんがそう言ったといえば分かる。ハハハ。」



「せっかく雪かきしてもまた雪が積もっちゃいますね。」

「いやいいんだよ。こうして夜かいておけば明日の朝が楽だからさ。」







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ひと仕事終えたおじさんが引き揚げた後、雪はぴたりと止んだ。

闇から現れた下り列車が、低くこもった轍を響かせて再び闇の中へと消えていく。











(写真展漫遊録)



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オリンパスギャラリー東京に「国境鉄路」を見に行く。

戦前、朝鮮・満州間を隔てる川には7本もの鉄橋が架かっていた。言わずと知れた大陸政策の遺構である。

その後ソ連の満州侵攻や国共内戦、朝鮮戦争といった大陸を覆う混沌の中でそれらは破壊され、また再建され、

あるものは往時の姿を未だ留め、あるものは破壊されたままの残骸を晒す。

今は中国・北朝鮮国境地帯の、緊張感に満ちたルポルタージュである。

聞いただけでヤバそうなエリアに腰を据えた取材だけで感嘆ものだ。

作者の小中直人さんは中国大陸の蒸気機関車撮影のオーソリティとして有名だが、その経験の蓄積あっての仕事だろう。

話を伺えば全部の写真は中国側から撮ったとの事。北朝鮮側は「誰一人入れない」ゾーンだという。

厳寒の国境は川も土も凍りつき、冷たい鉄の構造物は霧とも煤煙ともつかぬ霞の中に浮かび上がる。

そこに住んでいる人でさえごくまれにしか見ないという、謎の国境越え旅客列車が行く。

個人の甘えなぞ立ち入る事を許さぬ、冷徹な国家と国家の境界の真実。

タイトルバックのか細い単線鉄橋は、最後の訪中に向う金正日の乗る専用列車が極秘裏に通過した。正面に立つのは北朝鮮側の歩哨。

北朝鮮の命脈を繋いでいるとも言える対中国間の物流の7割は今もこれらの鉄橋に支えられているという。

「鉄は国家なり」。 鉄で出来た路もまた、ここでは国家そのものである。


久々にガツンと来る「鉄道写真」を見た。

風太郎のルポルタージュのなんとヌルい事よと自己嫌悪にも陥るが、必見。







HPはこちら  
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2017/02/01 20:01 ] 最近の旅 東北 | TB(0) | CM(8)

風太郎様

一枚目から二枚目へ・・・
除雪する方の撮影・・・・
感動・・・・容易くは語れませんね
この気持ちをどのような言葉で紡いだらよいのか私には術がないのが残念です

三枚目
厳しい寒さの中にある・・・・心安らぐ光景です
列車の明かりで闇が一部 明るい色調になっています
そこが一際目を惹きます
険しい厳しい環境の中 それでもメルヘンを感じる 大好き系お写真です
[ 2017/02/01 21:18 ] [ 編集 ]

誰かの為に


りらさま

JRから除雪の仕事を委託された地元の方だと思うのですが、
冬の間中続く除雪の日々に想いを馳せるところがあります。
当然この駅を使う人のために除雪しているのですが、
一体どれほどの人がこの駅を使うのかと考えてしまいます。
それでも僅かながら居る誰かの為にこの仕事はあるのでしょう。
闇に浮かぶ駅は絵の様に美しいだけに、現代ローカル線の切なさも胸に迫ります。
[ 2017/02/01 21:54 ] [ 編集 ]

こんにちは

「鉄は国家なり」 鉄路敷設は国策でしたね
営林署時代から(今は森林管理署)勤めている知人が 北海道こんなとこにまで鉄道が・・・と
昔の路線図見て苦笑いでした 
「鉄路の先には食いつぶされていく資源とそこで働く人がいて
後先考えずに略奪していった後の衰退に 解決策もないのは当然」 と


夜のうちに雪かいておけば朝は楽
長年やっていてもこれをうちのダンナは理解してくれません(;^ω^)
どうせ積もってどうせ朝やらなきゃならんのだからというのですが
雪かいた後に積もった雪は軽いし重くても根が張ってないから動かしやすい
なんだかんだで夜やらずに朝つらい思いして雪かいて 不満述べるほうが損なのです 
ちょっとのことかもしれないけれど 見通しは必要だし 想像力も必要 
雪は個人の生活力アップしてくれるアイテムかもしれません

[ 2017/02/02 00:00 ] [ 編集 ]

粘り強さ


Jamさま

およそ道路政策というものが不在の時代にアダ花のように咲いたのが日本各地のローカル線という事情があって、
そのすぐ後に猛スピードでやって来た車社会にあって使い捨てられた、という事ですね。
何か随分軽いものになってしまった「鉄の路」ですが、現代にあって代わりになる道路橋すら架けるのが難しい世界があります。
重い重いモニュメントです。

一番辛い労働とは一生懸命作ったものを目の前で壊されるような無意味な作業の繰り返しとは頷けるところですが、
一見無意味に見える作業に次に繋がるものがあるのですね。
それにしても。雪国の人の粘り強さというものに触れた気がします。
[ 2017/02/02 00:21 ] [ 編集 ]

雪国のホーム

風太郎さま

小出口でもどの駅も丁寧に雪かきがされていました。
駅守さんが居るようでとても気持ちがホッとなります。
電関人は、二日目の撮影であるお宅の前で断って撮影していたら
その家人から焼き芋を差し入れしていただきました。
こういうのもとても嬉しい事です。
[ 2017/02/02 18:57 ] [ 編集 ]

田舎の情


狂電関人さま

暑い寒い土地に暮らす人は結構合理的で、その暑さ寒さが耐え難い様な時間帯や天候にあってはじっと動きを止めてやり過ごしているものです。
でも奇特なカメラマンとしてはそういう時こそ踏んばらにゃという場だったりするもので。
地元民から見ればご苦労な事と映るのでしょうね。
でも閉鎖的と言われる田舎で見ず知らずの流れ者に親切に手を差し伸べる人が多いのは、日本人に生まれて良かったと思えるような体験でもあります。
旅はだから止められません。
[ 2017/02/03 20:19 ] [ 編集 ]

駅守

こんばんは。

私も滝谷で夜撮をしましたが、このようなドラマチックなシーンには巡り会えませんでした。

それにしても、雪国の鉄道を守る事は本当に大変なんですね。
因みに、駅守さんはどれくらいの時間、雪掻きをされていたのですか?
[ 2017/02/06 22:57 ] [ 編集 ]

鉄道効果


いぬばしりさま

かつては正規の保線職員だったり駅員の仕事だったりしたのでしょうが、今は地元に暮らす人の副業として委託されているようですね。
それはそれで合理的なようにも思いますし、ささやかながら地元に雇用を生み出すならそれも鉄道効果にカウントされるべきと思うのですが。
着いた時にはもうやっていたのでどの位なのか分かりませんが、小一時間程度でしょうか。
[ 2017/02/06 23:27 ] [ 編集 ]

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