夕張物語 その9    鹿ノ谷

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   石勝線 夕張支線   鹿ノ谷    2017年6月







雨模様の朝になった。

静寂を破る始発列車のアイドリング。


画面の左側に広がる野原はかつての夕張鉄道鹿ノ谷機関区の跡。

常に5~6両の蒸気が煙を上げていたというそこは、大型木造機関庫からターンテーブル、

そして国鉄では例を見ないアメリカ式の巨大なコールタワーを備え、その威容の一端は前回の「私の夕張」のカットからも窺い知れる。

ホームからは、張り巡らされたヤードを跨いで夕張鉄道に乗り換えるための長大な跨線橋が伸びていた。

この国の運炭鉄道の興隆を象徴するような風景も今は夢の跡である。


下の写真、目の前には大きなターンテーブルがあったはず。そして機関庫、検修庫、各種の詰所が。

唯一の遺構とも言えた木造機関庫が倉庫として近年まで残されていたはずだが、それも取り壊されたようだ。

ワイルドな北海道の自然は原野に還るとなればあっという間に灌木で覆い尽くして、痕跡さえ分からなくなってしまうものだが、

背の低い草しか生えないのは積年に染み込んだ石炭粉やオイル、そして働く幾多の人々に踏み固められた硬い地面故だろうか。

それは歴史の彼方に忘れ去られる事への、ささやかな抵抗のようにも見えてしまうのだ。


再び静けさが戻った駅。

靄の向こうに汽笛と動輪の軋み、そして長大な運炭列車の地響きを聞く。







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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2017/06/29 23:04 ] 最近の旅 北海道 | TB(0) | CM(4)

デジ力

風太郎さま

デジになって最大の変化と電関人が思うこと。
こういった曇りの低露出時に、緑の葉が小さなレフ版になって
デジャビューのような不思議なワールドを創ることです。
兵たちの夢の跡、いい感じで表現されてます!
[ 2017/06/30 09:14 ] [ 編集 ]

デジタルのイマジネーション


狂電関人さま

昔のコダクロームだったら絶望的な低彩度に泣かされるところですが、後のベルビアとかでは全然違いましたね。
でもそんな感材の進歩を一気に飛び越えてしまったのがデジタル。
この写真も一応レタッチは入っていますがもともと彩度は充分、雨の日らしく少しコントラストを上げています。
デジタルが生みだすイマジネーションからは離れられませんね。
[ 2017/06/30 20:08 ] [ 編集 ]

風太郎様

それは歴史の彼方に忘れ去られる事への、ささやかな抵抗のようにも見えてしまうのだ。
再び静けさが戻った駅。
靄の向こうに汽笛と動輪の軋み、そして長大な運炭列車の地響きを聞く。

記事を拝読させて頂き最後のお写真を拝見すると・・・
私のような未熟者ではありますが・・・・そのお言葉の深さまた耳にその音が響きます
素晴らしいシーン・・・忘れられないお写真となりました

[ 2017/07/01 20:18 ] [ 編集 ]

インナートリップ

大勢の人間が働き様々な人生が紡がれた場所というのは、
何か目に見えない「念」のようなものが宿る気がします。
かつて12万人が暮らした町。
夕張の旅は声なき声を聞くインナートリップのようです。
[ 2017/07/01 21:32 ] [ 編集 ]

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