モノクロームをもう1枚 その2

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  五能線 追良瀬   1982年


「荒涼」が代名詞の五能線の風景もモノクロームが似合った。

いや、冬の日本海独特の灰色とも深緑ともつかぬ鈍色の海や、海を紅く染める見事な落日などは

まさにカラーならではの世界で、風太郎も蒲原よりはカラーへの浮気心が強かったのは事実。

もっと本数が多い線区なら「両刀使い」という優柔不断な選択も多かったと思われる。

ところが結果的にモノクロームが圧倒的に多いのは、端的に言えば「整理された色」が

やはり沿線の風土に合っていた、ということか。

上の写真、海岸段丘の上から見下ろす晩秋の追良瀬駅と、残照を映す凪いだ海は

息を呑むような美しさだった。実はこの時カラーでも撮っている。

(というより状況が状況だからこっちがメイン)下の写真がそれだ。

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真っ赤に染まった海は、派手系の発色がイマイチとされたコダクロームでコレなのだから凄かった。

しかしである。現像から上がってくると「???」なところがあった。

ホームや車内の蛍光灯がグリーンに発色して海の赤と補色の関係になり、

よりケバケバしさを増した、という予想外のところもあったが、

色というのは時に饒舌過ぎ、かえってその場の空気を伝えなくなることもある。

まあどっちの良さもあると思うが、風太郎としては「押さえ」で撮ったモノクロームver.の方が

お気に入りである。

あの静謐な日本海の夕暮れは、饒舌な「色」よりも白から黒へのトーンの変化だけの方が、

より鮮やかに蘇ってくる。


最近はモノクロームでとんと撮らなくなった。

カラー写真の客観性に比べて、もともと主観的内省的な写真表現だと思うし、

被写体に対して思い入れが強くないと上滑りするようでつい腰が引ける。

モノクロームでなきゃあ、という被写体に早く出会いたいもの。


HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2011/10/14 21:46 ] 写真道具 | TB(0) | CM(0)

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