鐵道時計で遊ぶ

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しぱらく前になるが古い懐中時計、いわゆる「鉄道時計」を手に入れた。

何が古いって裏面には「昭31 国鉄」の刻印があり、少なくとも56年前のモノであることは確

かである。「精工舎」製、いわゆるスモールセコンドで、秒針が独立して文字盤の下部で廻る。

その文字盤は少し黄色っぽく変色しているが長針短針はコバルトブルーでキラリと光る。

もちろん手巻き式でリューズは花が開いたようなレトロな形。吊りヒモは国鉄の購買部でやたら

高かったという絹製らしく毛羽立ちもなくしっかりしているが、もともと濃紺色だったはずが、

すっかり色が抜けてしまっている。時計と同じ歳月を過したのだろうか。


全金属の躯体は意外に重いが手にすっぽり馴染む大きさ。かつて国鉄の制服上着の裏にはこの

時計を収めるための特別なポケットが付いていたとも聞く。さすがに前面ガラスのキズや本体

のハゲも目立つが、これも長年使い込まれた証となれば、また別の感慨も沸くというもの。

「鐵道時計」と書いたほうがしっくり来る様な骨董品だ。


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こういった類も恐るべき知識を持ったフリークが居るのだろうから、恥をかかないよう、うかつな

ウンチクは控えるが、前から欲しかったのだ、SLの煙が染み込んだような年代モノが。いかんせん

古いだけに故障が心配だが、いまのところちゃんと動いている。


ちなみに精度だが、入手した当初、寝かせた(文字盤を上にした)状態で置いていたところ、

「1日2分進む」事が分かって仰天したが、紐でブラ下げて「立てた」状態にしたところ日差20秒位

であり、この手の古時計としては合格ラインらしい。重力の関係で置き方により精度が変わるのは、

こういった純機械式時計ではままあるらしく、思えば制服のポケットには「立てた」状態で収まって

いる訳だから、それに合わせて調整してあるとしたら凄いが、それはないか。でもこの味わい深い

時計が諭吉1枚でお釣りが来る値段で買えたのだから、いい買物と思っているのだが。


なぜ「鐵道時計」と呼ばれるかと言えば、文字盤の数字が大きく、時刻を瞬時に、あるいは揺れる

キャブでも読み取りやすい、という点もさることながら、通常の時計ではおまけの様な機能である

「時刻合わせ」が極めてやり易い構造になっている事にある。

かつて鉄道員の日課は「時計の整斉」だった。前述の通り、純機械式時計は気難しい精密機械で、

様々な条件で狂いは避けられないのだが、毎日整斉するなら問題ないところ。世界一正確といわれ

る日本の鉄道運行は、黙々とゼンマイを巻き上げ、針を合わせる鉄道員の律儀なスピリットがその

根幹を支えていた事は確かだと思う。耳を近づけるとチッチッチッと懐かしい音が響くこの時計に

は、何処の誰が手にしていたのかは分からないが、歳月を重ねた「鐵道の魂」が宿っているように

も思える。


ゼンマイは2日位しかもたないから、毎晩コリコリとネジを巻き、「時計の整斉」をして昔の鉄道員

気分をちょっと味わっているのだが、この時計がかつて現役で活躍していた時代の匂いがする場所

に置いてやって「鐵道時計のある風景」としてみようかと、いろいろイメージしているところ。 



汽車の時間

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   小湊鉄道   2013年1月



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[ 2013/03/18 21:57 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(4)

小道具

こんばんは。

最初は「この時計素敵だなぁ」って
読んでいたら、最後にラッチ?の上に置いての撮影。
びっくりしたと共に、これ本当に欲しくなっちゃいました(笑)

で、今晩も「巻き巻き」したんですか?
[ 2013/03/18 22:44 ] [ 編集 ]

鉄道時計

いぬばしり さま

「巻」については実は大概忘れます。(笑)
昔の鉄道員は毎日決まった時間にラジオの時報で合わせたとか。
律儀な鉄道員はなれそうにありませんね。
でもコリコリというゼンマイの感触は落ち着きます。

ネットとかで結構売っています。まあ数千円が相場ですが、
自分の生まれた年のを買う、とか拘ると結構探さなければいけない
かもしれませんね。

列車待ちの手慰みに最近各地で撮っています。おいおいUPしますよ。
願わくば、こいつに似合う風景がいつまでも残りますように。

[ 2013/03/18 23:15 ] [ 編集 ]

僕もこのタイプと、昭和39年 新幹
と刻印のある物を持ってますが、両方共 廃
な刻印が入ってます。
廃品を3つ買って来て、高校生の時に部品取して動く物を2つ仕上げました。あの頃は目も良く、手先も器用だったな〜・・・
今も動いては居ますが、昭和32年は軸が曲がっているのか、一日の内で遅れたり進んだりなので実用にはならなくなりました。
[ 2013/03/19 07:06 ] [ 編集 ]

凄い

mack さま

廃品を買ってきて組み立てたとは凄い。
私は裏蓋の開け方さえ知りません。
器用と言うより余程時計のメカニズムに強くないと
出来ないのでは・・・。
[ 2013/03/19 23:40 ] [ 編集 ]

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