おめでとう!!!山井!!!!

_DSC5286b.jpg



「風太郎のDな日々」はそれこそ鉄道も写真も無関係なドラゴンズ愛のカテゴリーなので、時間を浪費したくない

人は閉じるのが吉。足が痛くて外出さえ出来ないブルーな週末を覚悟していたのだが、快哉を叫びたいような事件

が起きた。暇に任せて講談調で書く。


昨夜ヤフーの「プロ野球速報」を見ていたら中日☓DeNA戦、9回裏9-0で中日リードとの事。

ウチにしては珍しいバカ勝ちじゃないの、投手は山井か、投げさせてみなきゃ分からん投手だが今日は

良さそう。と、ふとDeNAの安打数を見れば「0」になっているではないか! 大変だあと慌てて

TVを点ければ最後の打者のゴロを山井が自ら捌く映像でゲームセット。

中日ドラゴンズ山井大介投手、史上77人目のノーヒットノーラン達成の瞬間であった。


中日ファン歴40年の風太郎にとって殊更に感慨深いのは、この山井という投手、中日ファンのみならず、

日本中の世論を二分した6年前の大事件の当事者だからだ。


2007年11月1日、中日☓日本ハムの日本シリーズ第5戦。中日が3勝1敗と王手をかけ、有利ながら、

この試合を落とせば敵地札幌での決戦となり、行方は分からない。何より中日の日本一は1954年以来、

半世紀空いており、どうしても落とせない試合だった。

背水の陣の日本ハムは札幌決戦に引きずりこまんと、あのダルビッシュを押し立て必勝の構え。対する中日の

先発は山井。はっきり言えば「当てにならん」存在で、ダルとの投げ合いとは明らかに格落ちであり、開始前

からヤバイ感が充満していた。


案の定、ダルの球威は凄まじく中日打線は手も足も出ず。しかし山井も調子が良く凡打の山を築かせる。やがて

中日が平田の犠飛でやっとこさ先制し均衡を破る。僅か1点のリードながら山井の調子は衰えず7回を終えて安打

はおろか一人の走者も出していない。おいおいと俄かにざわめきが広がる。「完全試合」そのものは長い球史の中

で何度か達成されているが、日本シリーズの、しかも優勝が掛かった試合での達成は前代未聞である。


山井という投手、もともと力はあった。150㎞近い速球とえげつない曲がり方をするスライダーは調子さえよけ

れば「打てる気せえへん」と言う程の切れ味だった。年に一度だけ、神様が降臨したような快投を演じるという不

思議な習性もあったが、いかんせん好不調の波が激しく、ケガにも泣かされた。


ドラフト6位入団、常に無名だったこの雑草投手にとって、野球人生最大のチャンスが巡って来たように思われた。

8回表の日本ハムの攻撃もあっけなく3人で終わる。あと3人。スコアは1-0と全く分からない試合なのだが、

53年振りの日本一というより、球史に残る瞬間を目撃せんとするエクスタシーに本拠地ナゴヤドームは揺れた。


その時、テレビの前の風太郎も茫然となるような光景を目の当たりにする。ベンチを出た落合監督が主審に投手交

代を告げる。「ピッチャー岩瀬」。前代未聞とはこの事だ。確かに岩瀬は鉄壁のクローザーとして君臨していた

が、完全試合目前の投手を交代させるなどあり得ない。どよめきも収まらぬ中、しかし岩瀬はいつもの仕事をし

た。三者凡退。中日ドラゴンズ半世紀に及ぶ日本一の悲願はここに達成された。


騒動はその直後から始まる。晴れがましい日本一監督であるはずの落合は、猛烈な批判に晒された。もともとマス

コミ嫌いの監督だったので格好の攻撃材料にされた感がある。中日ファンでもない馬鹿な評論家は「ファンの夢を

壊した」として口を極めて非難した。「チームの勝利」を「個人の記録」より冷徹に優先させたとして、リーダー

とはいかにあるべきかという冷静な議論も広がった。落合は自身の采配について多くを語る事を好まず、「途中で

指の豆をつぶした山井が自ら降板を申し出た(これは事実らしい)」という情報が遅れて出たことも混乱を増長させた。

山井自身は「自ら降板させてもらった。ここはとても無理だと思った。悔いはない。」というコメントのみを残した。


一寸先は闇の勝負の世界の事、何が正しかったかは風太郎も分からない。ただ、はっきりしていることは落合は決

して保身に走らなかった事だ。なぜならあのまま山井を続投させ、例え負けても誰が監督を責めようか。そして替

えた岩瀬が打たれたとしたら・・・。落合はどんなリスクをも辞さぬ本当の勝負師だったと思う。


そして忘れてならないのは「岩瀬」である。完全試合目前の投手を下ろして登板する投手。点差はわずか1点。

「抑えて当たり前」はクローザーの宿命だが、マウンドで足も震える様な場面である事は誰にでも分かる。

「あの時だけは行きたくなかった。」という岩瀬の悲壮なコメントも胸に迫る。

それでも岩瀬は沈着冷静に一人のランナーも出さず、「二人で完全試合」というこれまた前代未聞な記録を残した。

心ある中日ファンは、ひっそりと目立たない「岩瀬の1イニング」を決して忘れないだろう。

山井、落合、岩瀬。3人の男達の魂を宿した一戦だった。


山井を巡る運命の糸はまだ続く。それから4年後の2011年秋。


中日はやはり日本シリーズでソフトバンクと激突する。その年の中日はシリーズ前から不穏な空気が流れていた。

反落合派の球団首脳が落合排斥を画策、優勝争いの最中に突如解任を発表。「優勝監督を解任」の事態を恐れる様

な姑息な手段に選手も反発、かえって結束した中日はその後破竹の連勝でシーズン優勝する。しかし相手となった

ソフトバンクは和田、杉内、ホールトンを擁し、最強の名を欲しいままにしており、評論家の予想で中日勝利を推

したのは一割もいなかったと思う。戦前からこれほど一方的な評価だったシリーズも前代未聞ではないか。

しかし中日は負けなかった。3勝3敗。決着は最終戦にもつれ込む。もちろん勝っても負けても8年間に及んだ

落合博満監督の公式戦最終試合である。


運命のマウンドを託されたのは果たせるかな、山井である。この年の山井もやはり「当てにならん投手」だった。

しかしこれまでの6戦で、中日は最強ソフトバンクを相手に投手を使い果たし、刀折れ矢も尽きた感があった。

仕方がないので「不本意ながら」送り出された投手というのが実情だったかもしれない。しかし4年前の記憶も

生々しい「あの山井」である。同じ日本シリーズ最終戦、そして何より因縁の落合監督の最後の試合。あまりにも

出来過ぎた舞台ではないか。年に1回だけあるはずの「神投球」はまだ出ていない。山井と落合の奇跡が起きるの

は今夜である事を、全ての中日ファンは夢見て興奮を抑えきれなかったと思う。


しかし山井は打たれた。奇跡は起きなかった。


そして昨日である。ただのノーヒットノーランとは異なる感慨があることをご理解いただけると思う。

35歳、既に野球選手としてのピークを過ぎ、通算成績33勝31敗。平凡と言えば平凡なこの投手は、

典型的な「記録より記憶を残す選手」だと思う。


山井投手には心からおめでとうと言いたい。



最後まで読んでいただいた方は恐縮です。この通り心は熱く、体は安静にしております。




HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

Copyright(C)2011  FUTARO1980. All rights reserved


「ブログ村」に参加しました。ご訪問の際はポチしていただけると励みになります!
 ↓
にほんブログ村 鉄道ブログ ローカル線へ
にほんブログ村

スポンサーサイト
[ 2013/06/29 21:22 ] 風太郎の「D」な日々 | TB(0) | CM(6)

風太郎様

中日ファン歴40年
私は野球のことは よく分かりませんが
そのファン歴40年には感激しました

山井投手様
これほど 喜んで下さる方がいて幸せですね

りらより
[ 2013/06/29 21:56 ] [ 編集 ]

Field of Dreams

りらさま

暇に任せて書いた長文をお読みいただき有難うございます。

あまり野球に興味ない方は理解が難しいかも知れませんが、
長い伝統のあるチームを長年応援し続けていると、それがどこか人生の歴史の一部と
なっているところがあるのです。

時代は流れ選手も変わりますが、20年前30年前の試合のワンプレーを、
あの時はこうでああでといい親父達がしっかり覚えていて話は尽きません。
それは結構幸せな時間だと思うのですが。

米映画の「Field of Dreams」を見た事がありますか。
まあこれは風太郎にとっての「Field of Dreams」なのです。
[ 2013/06/29 23:09 ] [ 編集 ]

こんにちは

おめでとうございます!!!!

そうそう あの日本シリーズは記憶に鮮明ですよ
たいへんたいへん驚きました

北海道に日本ハムが来て以来たかが10年の日ハムファンの私ですが 
野球は「野球狂の詩」の影響バリバリで昔からずっとずっと好きでした

野手の方々もどんなにか緊張していたことでしょう
チーム一丸となっての まずは勝利、それから偉業
山井選手含め中日の選手みなさんのゲームセット後の笑顔 素敵でしたね
野球ってすばらしい~・・・

[ 2013/06/30 09:55 ] [ 編集 ]

人間ドラマ

Jam さま

野球ってチームスポーツでありながら、個人個人の責任範囲が
意外に明確に見えてしまう事がサッカー等と違うところで、
ヒーローも生まれれば責任を背負う選手も生まれて明暗がはっきり分かれますよね。
そんな光と影を併せ持つところが日本人好みなのかなあ、とも思いますが、
ひとつの人間ドラマとして見ると飽きることがありません。



[ 2013/06/30 12:09 ] [ 編集 ]

私は好きです

山井という投手、確かに不安定。
今シーズンもブランコにぶっ飛ばされたり、
試合を壊すことも。
しかし、先発も中継ぎもクローザーも全部
やったり、挙句に故障したり。
「いいヤツ」だな、と思いますよ。
[ 2013/06/30 21:58 ] [ 編集 ]

憎めない奴

マイオさま

そうですね。結果的な評価としてどうしても上にいかないというだけで、
タマ自体は本当にいいものを持っていると思いますよ。
昨年はクローザーとして大成するかと思ったんですがねえ。
便利に使われてしまってる憎めない奴という気がします。
それ故今回の快挙は嬉しいのです。
[ 2013/06/30 23:03 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://futaro1980.blog.fc2.com/tb.php/546-708c650b