「地鉄電車」のふるさと

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   富山地方鉄道  有峰口   2013年8月



宮下洋一氏による有名なレイアウトセクション「地鉄電車」は、その細密度と工作力において気が遠くなり

そうな作品だが、1/80に凝縮された生活感あふれるローカル線の情景は風太郎が大いに好むところでもある。



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この「地鉄電車」、富山地方鉄道がそのモデルになっている事は自明の理なのだが、風太郎はこの鉄道について

は全く未見だった。富山平野の比較的人口密度が高い地域を走っており、線路際まで家々が建て込んだあたりが

写真的に絵にするのが難しそうで敬遠していたというのが大きい。

しかし今回の旅行で宇奈月温泉~電鉄富山間の乗車や、立山線の沿線を車で走った結果、食わず嫌いであった事

を大いに後悔することになった。なにしろ「駅」が渋い。木造駅舎の宝庫ともいえ、車窓からチェックしただけ

でもムムムと思わせる駅が14~15駅はあったろうか。


特筆すべきはそれらの駅のデザインが標準仕様化されておらず、皆異なる意匠を持っていることで、そのバラエ

ティを愛でるだけでも時間を忘れそうだ。

思えば「地鉄電車」の凄さは駅舎や民家等のストラクチャー工作にあり、それらのインスピレーションを提供し

たのは疑いなく富山地方鉄道である事、つまりはここが「地鉄電車のふるさと」である事を改めて確認した次第。


で、たまたま宿泊したホテルの近くにことさら渋い「有峰口駅」があるとなれば、撮らぬ訳にもいくまい。



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昭和12年の開通当時の駅舎。以前は「小見駅」だったのだが、途中で駅名が変わった名残りが壁に残る。

(見の字が剥落しているが) 木造モルタル塗りは旧国鉄駅舎の仕様にあまり無い気がするのは何故かと思うが、

雪国の私鉄ではよく見かける。羽目板がむき出しで無い事がこの地の風雪に長く耐えた所以ではないかと思うし、

高い天井は古いながらにここがパブリックスペースである事を主張しているようだ。天井まで届きそうな大きな

窓は、やはり冬よりは夏を重視した日本家屋の習いに沿っているようだが、こういう高い窓は駅舎内や乗客を撮

るとき、レンブラントライトのようないいライティングを作るので風太郎好みである。純和風建築でありながら

トンガリ屋根ふたつの洋館風にも見えるデザインも凝っている。


駅員が居ないにも関わらずガラスを割られたりイタズラの形跡が無いのも、地元でこの駅舎が愛されている証と

思う。ホームの下り方向からは天気が良ければ万年雪を抱いた立山連山をバックに撮れるらしい。今日は雨模様

の朝だけど、それはそれで静かなローカル駅の情感が漂う。


ホーム上の屋根の木組みが美しい待合小屋も含め、まさに「地鉄電車」ワールド。雪が積もったらどうなるん

だろうとか、思わずニヤリである。車両も地鉄オリジナル車はなかなかの味だし、その他の名駅舎も丹念

に記録したい。


北陸新幹線開通時の楽しみにとっておこうかなあ。



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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2013/08/14 20:17 ] 最近の旅 中部甲信越 | TB(0) | CM(16)

今晩は。
駅舎も、その内部も、とても味がありますね!!
いい味出ています。。
少し思ったのですが、風太郎さんのこういった構図の作り方は、模型電車の本のレイアウトなどがお手本になっているのでしょうか?
もしまちがっていたら、すみません。
独学だと仰ってたので、そういうことなのかなとふと思いました。^^;
[ 2013/08/14 20:45 ] [ 編集 ]

写真の勉強?

いろもりカラスさま

鉄道模型の世界は大きくても実物の1/80の世界で、どんなに良く出来ていても実物とは異質です。模型には風も匂いもありませんし。
従って模型から写真のインスピレーションを得る事はありません。

写真の勉強ですか・・・。私の場合はとにかく真似です。
鉄道写真には昔から興味があったのですが、つまらない写真も多い中で、斬新な切り口で捉える作家の作風をひたすら真似て、という所です。
その後写真の興味が広がる中で、農村ドキュメンタリーや自然風景写真、山岳写真、スナップ写真、ポートレートに至るまで
いろいろなジャンルの作品を見まくりましたね。
私の写真に「作風」のようなものを感じて頂けるなら、そんな過去の「真似」をブレンドして少しづつ出来てきたのかなと思います。

まあそれらは全て自分の心の内の作業で、「こう撮りなさい」という類のアドバイスは、受けてもあまり聞いた事がありません。
(元来天邪鬼ですから(^^;)

事始めにおいて「真似」は大事だと思います。
心に響く写真には、写真の撮り方のエッセンスが無言のうちに凝縮されているのですから。
有名な作家の撮り方しか価値を見いだせず、盲目的に最後まで真似に終始する人は気の毒だと思いますが、
いろもりカラスさんのように真摯に写真と向き合って、オリジナルを求める心を忘れなければ、
真似の中からどんどん「作風」が芽生えて来ると思いますよ。
[ 2013/08/14 21:22 ] [ 編集 ]

前田の殿様

風太郎さま

さすがは前田の殿様のおひざ元だけに、名工、名大工はたくさんいたのでしょうね。その証なのでは!?
[ 2013/08/14 21:25 ] [ 編集 ]

駅のデザイン

狂電関人さま

なるほど名工の里ですか。

細工の巧みさもさることながら、実用性とオリジナリティを両立させた各駅のデザイン性には驚きました。
おらが鉄道の誇りや夢と共に、設計段階での有能なプロデューサーが居たのでは、
と遠い過去に想いは巡ります。
[ 2013/08/14 21:45 ] [ 編集 ]

風太郎様

一枚目のお写真
屋根の作りに趣向を凝らしているのが見てとれます
上げ下げ窓のように見える窓
コンクリートの壁
建設当時は かなりおしゃれな駅舎だったことが
想定に及びます
最後のお写真にてホーム側の建設は
木造作りだと 理解に及びます
一部 横板張りになっています
青の塗料で塗られていたようです
その点においても この駅舎が先程
述べましたように 建設当時は かなり
その時代においては おしゃれ感のある
モダンな建築であり 西洋建築のデザインと
和風なデザインの融合したものと見受けられます
建物好きな 私には たまらない 駅舎です
[ 2013/08/14 22:09 ] [ 編集 ]

こんばんは

風太郎さん、はじめまして。
当方のブログにコメントありがとうございます。記念すべきコメント第1号!です。
ありみねぐち・・・こういう駅名のフォントも味があっていいですね。集札箱もいい仕事してますね。いろいろ遠出をしたいですが、近場で楽しんでいます。

今後ともよろしくお願いいたします。
[ 2013/08/14 22:40 ] [ 編集 ]

これは・・・

成り行きでの撮影行ではないですね。
車で入れない秘湯、そこに行くために
富山地方鉄道の乗車、前泊?場所至近の駅。
どうみても不自然では?
ロケハン前提と見ましたが・・・(笑)。
私もときどきやりますので。
[ 2013/08/14 22:58 ] [ 編集 ]

ロマンと用の美

りらさま

りらさんは瀟洒で美しい洋館などの写真をよく撮られているので、
かなり痛みが目立ち、一見廃墟にさえ見えるこの手の建物は興味の対象外かと思っていました。

仰る通り、田舎駅の割には随分意匠が凝っているなあと思います。
大正から昭和初期、日本はまだまだ貧しい国だったと思うのですが、
公共施設の保守性を残しつつも、伸びやかなデザインを遊ぶ余裕もどこかにあったのかと思います。
戦後の駅建築は、つい最近までこうした「遊び」とは縁が薄かったですね。

外壁はコンクリートではなく、木造に壁材のモルタルを塗ったものです。
風雪厳しい土地で木の痛みを防ぎ、防寒を目的としたものと思います。
四季があって、暑さ寒さに両方対応しなければならないジレンマもどこか漂います。


どんなにボロでも片田舎の駅に託した建築家のロマンや、
長く地元の人々に愛された「用の美」を感じる駅舎は大好きです。

[ 2013/08/14 23:11 ] [ 編集 ]

旅人の視点

KAZUさま

コメント第1号ですか。それは光栄です。

「乗り鉄だと撮れない」はよーく分かります。ジレンマですよね。
私は乗るのも大好きですのでそれは随分悩みましたが、
鉄道を内側から撮れば、「旅人の視点」という新たな写真表現に繋がります。

KAZUさんのお写真、車両に縛られない分、伸びやかなオリジナリティがあって素晴らしいですよ。
理解する人は大勢いると思うので、そのうちコメントも増えると思います!
[ 2013/08/14 23:22 ] [ 編集 ]

いやいや

マイオさま

バレましたか・・・。

いやいや富山地方鉄道に何の期待もしていなかったのは事実です。
とにかく暑さをしのげるところ、と高い所を選び、鉄道でしか行けない所に行くなら
レンタカー代は節約しようかというケチな企画でしたが・・・。

しかし出発直前に駅々の凄さを知り、富山まで車を取りに行く行程は、
実は目がランランだったのは告白いたします。

有峰口駅がホテルの近くだったのも「偶然」であります。(ホテルの朝食前に撮る、という苦労もしております。)
[ 2013/08/14 23:37 ] [ 編集 ]

北陸劇場

風太郎さま、こんばんは。

私も去年「寺田」という駅に行ったのですが、それは本当に素敵な駅でした。
まさに「北陸劇場健在」っていう感じで。

そして、このお写真拝見して私も改めて富山へ訪れたくなってしまいました。
本当に有難う御座います。
[ 2013/08/15 22:48 ] [ 編集 ]

地鉄電車の渋い駅

いぬばしりさま

そうですか。寺田も良さげな駅だった記憶が。
チェックする駅があんまり多過ぎて、途中からメモを取り始めたのですが漏れもありそうです。

ご参考になれば嬉しいです。「いつまでもあると思うな〇〇」という「鉄」の格言もありますから、
あまり悠長に構えない方がとも思っております。

[ 2013/08/15 23:16 ] [ 編集 ]

オンリーワン

おじゃまします。
有峰口駅、先日私も訪ねました。確かに有峰口をはじめとして、実用本位とは一味違う味わいの駅舎がとても多いですね。
たくさんある駅の中のほんの少しだけ回ったのですが、共通設計のひな形で造られたのではなく、一駅一駅オリジナルなデザインをしているのが印象に残りました。
そこに入線してくるオリジナルな地鉄電車。オンリーワンの情景ですね~。
[ 2013/08/18 23:29 ] [ 編集 ]

富山地鉄

もそあつさま

コメント有難うございます。

記事中にもある通り、富山地鉄は全くノーマークだったのですが、すっかり魅せられてしまいました。
駅はもとより、立山線は沿線風景もなかなかですよね。
有峰口は線路は見えても駅が見えずの分かりにくさが難点ですが、
集落の路地を抜けた先にひっそりあるのが「地鉄電車」らしいです。

お撮りになった写真があれば、他にも拝見させていただきたいと思います。

そのうち、カミさん抜きの本気撮りに出撃しますよ。
[ 2013/08/19 00:26 ] [ 編集 ]

北陸新幹線開通までとは言わず、

是非、その前に足を運んでいただければ、と。
今では珍しくなったオール鋼製の電車王国だった富山地鉄も、どうやらこの秋から東京から流れていった銀箱電車(東急のステンレス車)が稼働するようで…。
私は山好きゆえに、1パターンで立山とか白馬連峰をバックに地鉄電車を撮っていますが、
やはり駅舎の渋さ、このストラクチャーにもカメラを向けねばと思います。
ある意味、長電以上かと…。
[ 2013/08/21 22:38 ] [ 編集 ]

地鉄電車

32Count さま

山バック写真の権威であられる32Count さんのお言葉には説得力があります。
そうですか、長電以上ですか。
あまり天気が良くなく、夏独特のヘイズもかかって山はよく見えませんでしたが、早春や冬の晴れ間など、かなりドッキリな立山連峰が拝めるかもしれませんね。
まあいろいろ行きたいところはありまして順番待ちです。「東急」はちょっとなあ、という感じですが。
[ 2013/08/21 23:21 ] [ 編集 ]

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