ZUIKO Macro 90mm F2

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 七尾線 七尾機関区   1988年    OLYMPUS OM4    ZUIKO Macro 90mmF2 



学生時代の風太郎は、なけなしのバイト代は皆旅費に消えてしまい、カメラ機材に必要以上のカネをかける

余裕は皆無だったのだけれど、社会人になってからはそれなりに余裕も出て、ちょっと高めのレンズに手を出す

こともあった。


オリンパスのZUIKO Macro 90mm F2 もそんな一本で、10年以上に渡って愛用したOMシステムの最後に

買ったレンズ。それというのもAF開発競争に負けたオリンパスは、1980年代末、事実上OMシステムを

放棄しつつあり、そんな時期にアダ花のように登場したレンズだった。


マクロを名乗る割には1/2倍までしか寄れないという不思議さだったが、画期的だったF2の明るさと共に、

きちんと撮ればカミソリのような切れ味とコントラストを持つレンズだった。ボケ味も柔らかく、メーカー

としてもポートレート~遠距離まで意識した高性能中望遠という位置付けで開発したのでは、と思う。


ズシリと重いボディと滑らかなピントリングは昨今のAFレンズでは到底感じられない味わいがあり、前述の

ように写りは超一級、メカニックな被写体もさることながら、その後生まれた子供の顔なんぞ撮ればマツ毛の

一本一本までビリビリに解像していて驚嘆した。


滅びゆくカメラシステムでありながらこれだけの銘玉を世に出したメーカーの、光学機器の老舗としての意地、

職人魂が生んだものだろうか。


実はこのレンズ、今は手許に無い。

1990年代が近づくと、風太郎は相次ぐローカル線の廃線や車両含む鉄道施設の更新に直面し、鉄道の写真に

見切りをつける事を真剣に考えており、数年後には一切の人工物を入れない自然風景写真への転身と、それ

に伴うPENTAX645システムの乾坤一擲の導入を実施している。出回ったタマ数が少なく、銘玉の誉れ高かった

このレンズは、1990年代半ばでも中古品が高値で取引されており、645システムの金策のため手放したのである。


結局オリンパスOMシステムは2003年まで存続し、フォーサーズのデジタルカメラにその魂を引き継ぐ事になる

のだが、日本のメーカーが、もはや死に体のカメラシステムを10年以上残したのは稀有な例のように思うし、

次代を担うカメラの開発まで「間」を空けなかったのは、やはり「ものつくり」への意地や誠実さだったのかと

思う。会社のオペレーションそのものは、何かアレなところが未だにあるようだが、職人気質な技術魂との共存

はなかなか難しいものなのだろうか。


未練たらしい風太郎は、このレンズの切れ味が忘れられず、時々中古屋のウインドーを覗いたりするのだが、

タマ数が少ないばかりか今だ高値で取引されており、59,800円也の値札。発売当時の新品定価が80,000円だか

ら当時の実売価格を上回っている可能性がある。


似たようなノスタルジー親父はまだまだ多いという事か。





HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2013/08/28 21:05 ] 写真道具 | TB(0) | CM(6)

ズイコーレンズ

風太郎さま

解像力に関しては抜群の性能を持っていたズイコーレンズ。
その白眉がこの玉でしたね!
今日の一枚は、それを物語るに余りある凄さですね!
電関人は、結局94年ごろからF4で鉄再出発し
FM3Aも導入したが、05年そのズイコーに24年ぶりに回帰したのでした。
[ 2013/08/28 21:46 ] [ 編集 ]

狭間の銘玉

狂電関人さま

手放してしまうとまた口惜しくなるものです。
このレンズを買ったのは鉄の最末期で、その後の645への切り替えとの狭間、
被写体を模索していた時期でした。

大した活躍の場を与えてやれないまま、というのが心残りをさらに深めているのかも知れません。
[ 2013/08/28 22:25 ] [ 編集 ]

風太郎様

記事を拝読させて頂いていて
まるで 記憶の中
今だ 鮮明に 去っていった人
あるいは 風太郎様の方から去られた人
かっての 恋人を想うかのように感じました
過ぎし日の 思い出はあまりにも 美しいです
心残りは 果てない後悔へと 時として 結びつきます
風太郎様は青春時代
日本の北から南まで 廻っていましたよね
その旅の途中 恋した記憶が残っているかと思います
風太郎様の今回のお写真撮影意図とは異なるかと 思いますが
私が記事を拝読させて頂いた 素直な感想です
[ 2013/08/29 21:45 ] [ 編集 ]

うむむむ

りら さま

うーん、確かに旅の出会いはありましたが、それほどロマンチックな思い出は・・・。
昔の旅は、まだ見ぬ土地や鉄道との出会いに毎日ワクワクはあったのですが、
寝床が夜行列車や待合室のベンチの連続で、とにかく疲労や眠気との戦いでした。
色気まで出している余裕は無かったのが現実です。

恋人と言うなら、共に旅したカメラやレンズかも知れません。
猛吹雪や酷暑の中、無茶な使い方をしながら故障ひとつ無かったそれらには、
単なるモノを超えた愛着があります。

記事のレンズはそんな愛着を感じる前に手放してしまったのですが、
それ以前の機材は、全く使わなくなった今も大切に保管していますよ。
時々手に取って空シャッターを切ると、「あの頃」のワクワクが、
じんわり蘇えります。
[ 2013/08/29 23:26 ] [ 編集 ]

重厚感

鋼鉄の重厚感と鈍い輝き、油のにおいがしそうな雰囲気がモノクロで強調されています。勉強になります。
[ 2013/08/30 10:53 ] [ 編集 ]

メカニズム

KAZU さま

有難うございます。

メカニカルで重厚なSLの下回りは好きな被写体です。
撮れば撮る程味が出て来て時間を忘れますね。
もちろん、生きたSLならではの味わいです。
[ 2013/08/30 22:08 ] [ 編集 ]

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