Planar

planar201312_005b.jpg
Carl Zeiss Planar 50mm/F1.4 ZF



昔の鉄はもとより、つい最近まで撮っていた銀塩中判でも風太郎の撮影機材はMF一辺倒で、レンズも

圧倒的に単焦点が多かった。どっかと三脚に据えて絞り込み、被写界深度一杯に使うようなスタイルが

染み付いていたのだが、一念発起してデジタルを導入して以来、精度の良いAF、強力な手振れ補正に

溺れるのはもとより、使うのはズームばかりである。

そんな撮影姿勢に対する自戒もあれば、単焦点MFレンズの、あのかっちりした描写と操作感が恋しくも

なってきた折も折。

中野はフジヤカメラの中古の棚に「Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 ZF (Fマウント)」という目にも

毒な代物が、結構格安で鎮座しているのを発見。往年の名レンズ、究極のスタンダードの定評はもとより、

手に取ればムニューと粘るピントリング、金属とガラスの堅固な塊を連想させる体積・重量レシオにやら

れてしまい、衝動に打ち勝って店を出られなかったのである。



_DSC6387b.jpg




このレンズ、とにかく操作感は絶品で、AFレンズの「MFも出来ます」的、おまけの様な感触とは異次元である。

made in japanの「なんちゃって舶来」である事は分かっているけど、マイスター的な加工精度を出す

「コシナ」も立派である。CPU連動が無いZFのため(安かったのはそれが理由)、絞りをボディ側で操作でき

ないが、絞りリングをクリクリやるのも昔を思い出して良し。


さて問題は「写り」。

このレンズ、何故スタンダードのように言われるのか理解不能な程の、実はとんでもないクセ玉なのだ。

まず大いに論議を呼ぶ「開放画質」から。



kominato20131109_111take1b2.jpg
Nikon D800E Planar 50mm/F1.4 ZF  1/180 f1.4 iso200



F1.4開放だから紙のように薄いピントは当然ながら、ショッキングなのは「ピントのヤマが無い」事である。

甘い、甘い、甘いのだ。ハイライトは大きく滲み、コレはソフトレンズ?と見まごう程。

「金返せ的糞レンズ」と怒り狂う人間も居れば、この「やるせない甘さ」がたまらん、と熱狂的信奉者も居て、

とにかく評価はまっぷたつのようだ。開放でピントなんか合いっこないからとツァイスはあえて球面収差を

残す設計をした、という都市伝説もあるが、実際わざとしか思えない程の凄さである。


ところが絞り始めると様相は一変する。f2.8あたりから俄かに切れ始め、f4まで絞れば、もはやカミソリ的

解像力である。最新設計のニッコール標準レンズと比べても少なくとも解像力はプラナーの方が上と感じるのは、

設計の古さも考えると天晴れである。よく言われる「濁りのない色再現」などは、デジタルの場合ボディ側の

事情にも左右されるし何とも言えないところだが、コントラストも充分なくせにシャドウ部の粘りも感じられる。

まあ、「コクがあるのにキレがある」的な結局何を言っているのか分からない世界ではあるけれど。


「開放から充分使える」が売りの優等生的レンズがもてはやされる中にあって、こういうクセ玉と出会うのもまた

写真道楽の愉しさというものだろう。「やるせない甘さ」はどう料理したらいいのか思案中で、薄暮のブルーに

染まった駅構内あたりで試してみたいとは思っている。

レギュラー選手の座はズームに譲るものの、ここ一番での代打の切り札が居るのも頼もしく、

勝負所でのテンションが上がるというもの。


下の写真は厚賀の鉄橋。どんどん暗くなる中でこのレンズの明るさが生きた。想像したより(実物よりも)クリアー

な風景に写った気がするのは、贔屓の引き倒しだろうか。




hidaka2201310_117take2b.jpg
日高本線 厚賀  2013年   Nikon D800E Planar 50mm/F1.4 ZF  1/180 f2.8 iso1600



いずれにしてもいい加減な撮り方をすると手ブレ、ピンボケ連発で、解像が凄いだけに誤魔化しが利かない。

最近ワキの締めが甘くなっている風太郎にとっては、禅寺の警策のように厳しい先生である。

そういう意味で、やっぱり永遠のスタンダードなのかも知れない。





HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2014/01/02 11:06 ] 写真道具 | TB(0) | CM(16)

プラナー50ZF

風太郎さま

正月早々ガツンと来ましたなぁ。
また酔狂な玉を持っているご仁だこと!
下の写真に吸い込まれそうです (爆)
[ 2014/01/02 15:09 ] [ 編集 ]

代打の切り札

狂電関人 さま

代打の切り札ですって。

ちなみに岩館の鉄橋は50mmタテ位置でドンピシャな構図になりますよ (^-^)v
[ 2014/01/02 18:05 ] [ 編集 ]

いいですね

冬の寒い残照(?)の刻の雰囲気が伝わってまいりますね。

デジタルが世の中の主流になってから、カメラ本体がいかに優れているかが写真を左右しているようにも思え、フィルムやレンズ云々は関係なくなったようにも思えますが、やはり単焦点レンズは優位だと聞きます。
ただ、レンズの頻繁な付け替えを余儀なくされるため、ホコリの新入不安との戦いになると思います。

そういう私、実は10年前頃からレンズ派全て単焦点でして、昨年からのデジタル移行後も頑固にそれを貫いております。
フィルム時代に解像度にこだわった結果なんですが、デジタル化以降はただ単に買いなおすのも面倒(お金もかかるし)なんで、そのまま続けているだけというのが実なんですけど...。

私もツァイス、一度は使ってみたいレンズです。
[ 2014/01/02 19:31 ] [ 編集 ]

単焦点

山岡山 さま

デジタル導入の際、元々のものぐさ故、またフィールドでの取り回しを考えるとズーム中心がよかろうと買い揃えたため、
デジタルにおいては50mmF1.8を純正で持っている以外は単焦点の味を知りませんでした。

画質面ではボディ側にも左右されるだろうと、レンズへの拘りはあまり無かったのですが、
実際使ってみると差はあるように思います。ズームは一枚カーテンが掛かったような感じとでも言いましょうか。
厚賀の写真は直後にモニターで見てもちょっとハッとしました。

山岡山 さんは単焦点のみですか。今時珍しいですね。
クリアーでヌケの良い印象の写真が多いのはそれが原因でしょうか。

単焦点、ちょっと拘ってみたい気もしています。(こういうのをレンズ沼というんでしょうね。くわばらくわばら。)
[ 2014/01/02 20:43 ] [ 編集 ]

ご無沙汰しております。
僕も同じ球のZEを持っています。確かに開放ではボケたような絵を出しますが、ボケ具合が綺麗なんですよね。

絞れば5.6辺りがピークかと・・・フォーカスリングの粘りのある手触りは絶品の一言!!
EOS 7Dのフォーカスエイドも使えるのですが、よく嘘を吐かれます。
老眼にはフォーカスエイドが必需品なのに・・・
[ 2014/01/02 21:37 ] [ 編集 ]

硬質感

mackさま

コメント有難うございます。

お体の具合が思わしくないようですが、よい年になるといいですね。
プラナー、操作感は非の打ちどころがありませんね。
重量感というか硬質感。昔のレンズってこうだったよなあと思い出させてくれます。

フォーカスエイドは大分「のりしろ」があるようで、絞りを開けた時はあまり当てになりません。
落ち着いた撮影なら試し撮りも出来ますが、スナップとかでは厳しいですね。
私も乱視+老眼なので、そういった意味でも緊張させてくれるレンズです。
[ 2014/01/02 22:33 ] [ 編集 ]

凄いレンズ

こんばんは。

連貼り申し訳ございません。

凄いレンズですね。
確かに1枚目の懐中時計のお写真は、
ピントの山がないですよね。
でも厚賀のお写真は、それはもう
ビックリするくらいの切れ味です。
このレンズは使い手を選びそうですね。
あぁ、私も欲しくなっちゃいました(笑)。
[ 2014/01/02 23:52 ] [ 編集 ]

懐刀

いぬばしりさま

明るい単焦点はデジタルの高感度と相まって昔では想像も出来なかった映像を提供してくれますね。

クセ玉は別にしても現代では実用より趣味性の方が高い存在でしょうが、
何かいい写真が撮れそうな気がしてくるんですよね。

懐刀にするにはいいレンズだと思いますよ。
[ 2014/01/03 01:00 ] [ 編集 ]

MFばかりは

近視+乱視(それも強烈)の私には
MFは鬼門であります(苦笑)。
かつ足を使えない場所での撮影が主で
あるためズーム偏重になってきて・・・。
にもかかわらず広角~超広角系は単焦点を
入れたいなぁ、と考えています。
アダプターを使うとCanon BodyにNikon lense
なんて楽しみ方がありますけどね。
最後になりましたが、本年もよろしくお願いします。
[ 2014/01/03 10:48 ] [ 編集 ]

視度補正

マイオさま

乱視はカメラの視度補正が用をなさないので苦しいですね。
最近ではアイピースに付ける「カメラのメガネ」があるようですが。
いやですね。年寄り臭い話は。

広角系は逆光耐性が必要な場面も多く、単焦点のメリットも大きいかも知れませんね。

こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。
[ 2014/01/03 17:41 ] [ 編集 ]

D800E+ツァイス!

私が使っている50mmはCanon純正なのですが、やはり絞り開放だと周辺光量がストンと落ちて、ピントが合っているのかいないのかビミョーな朦朧体的描写で何ともいえない味があります。
F2.8まで絞るとキリッとシャープな写りになりますが、このあたりはツァイスと同様ですね。
ちなみにF2.8のキレとボケのバランスは、50mmのいちばんおいしいところのような気がします。
やはり単焦点レンズの線が細くてキリッとした描写は、ズームレンズでは出せませんね。
ところでD800Eをお使いだったのですね。
やっぱり描写は凄いですか。
私など2000万画素そこそこでも油断すると手ぶれしてしまいますが、手ぶれ大丈夫ですか。
遅くなりましたが、今年もよろしくおねがいします。
[ 2014/01/04 01:56 ] [ 編集 ]

「レンズの味」

m_HAL さま

機材の薀蓄には疎く、こういうネタは実は汗顔ものなのですが、
個性のある機材は趣味的な楽しさがありますね。
前にも書いたかも知れませんが私は50mmという画角がどうも苦手で、
ズームの画角を後で確認しても85mm以上か35mm以下がほとんどで、すっぽり抜け落ちています。
修行のためと思って買ったところもあるのですが、画角に合う被写体を探している状態でまだまだですね。
使いこなされているm_HAL さんには引き続き勉強させて頂かなければなりません。

D800、まあウデ以上の機材である事は間違いないです。ピンボケ・ブレは容赦ないですねえ。

デジタルの時代になって「レンズの味」というものが本当に存在し得るのか、と懐疑的になることもあります。
余談ですが、プラナーの甘い開放時のピント部分に狙い撃ちでアンシャープマスクを強めにかけると、
途端にシャキッとして別物のレンズのようになります。
どちらがいいかは議論があるでしょうが、その位「レンズの味」もコントロール出来てしまう訳で。

選択肢が無限にあるのも愉しくて悩ましい深遠な道楽の世界ですねえ。
[ 2014/01/04 10:43 ] [ 編集 ]

風太郎様

御存じかと思いますが
私のアップした写真は 全て単焦点での撮影です
ズームも二本持っていますが ほとんど使用しません
その為 撮影時のレンズ交換には 時間を要します
レンズバッグの中は 何本ものレンズで重さが辛い時もあります
でも 単焦点の被写界深度の浅い写真は今の私には 魅力的です
カールツァイスプラナー 憧れのレンズです
しかしながら 現在 マイクロ フォー サーズ レンズ 発売されていません
ライカ認定レンズが二本発売されています
二本とも 発売を待って購入しました
お写真と共に カールツァイスプラナー 
憧れを持って拝見させて頂きました
[ 2014/01/05 07:25 ] [ 編集 ]

気分の差

りら さま

単焦点しか使われない事は知っていましたが、自在に画角を変化させている写真を拝見すると、
レンズ交換のご苦労はお察しします。凄い拘りですね。

マイクロフォーサーズだと相当明るいレンズでないときれいなボケは作れないからかと思いますが、
その拘りは作品にしっかり反映されていると思いますよ。

レンズというものも、ある一線を越えてしまえばもう気分の差でしかないところもあるのですが、
気分も撮影現場の重要なファクターだからねえと、つい欲が出てしまうのです。
[ 2014/01/05 09:44 ] [ 編集 ]

謹賀新年です

いいですね、こんな記事大好きですよ。
憧れのプラナーは85/1.4でしたけれど、
今でもディスタゴン25/2.8は所持しています。
ただ、DXフォーマットには厳しいようです。

今年も「作りすぎ」のない画をアップしてまいります。
宜しくお願いいたします。
[ 2014/01/12 11:18 ] [ 編集 ]

機材ネタ

くろくまさま

コメント有難うございます。

とにかくこういうネタに関しては恐るべき薀蓄を持つ人もいる訳で、恐る恐るというところです。
元来そう細かい事に気が回らないタチなので、レンズの違いなどよく分からないのですが、
気分の違いも撮影現場のテンションに影響する、と納得する事にしています。

ディスタゴン25/2.8ですか。確か17cmまで寄れるやつですね。
そういう個性的なタマも興味があるのですが、なかなか踏ん切りが付きません。

くろくまさんの現役SLも羨ましい限りですが、復活SLもお仲間と賑やかに楽しまれているご様子、
私とスタイルは違いますが、アウトドアの健康的な趣味をいつまでも愉しみたいですね。

[ 2014/01/12 13:19 ] [ 編集 ]

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