シグナル暮色

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   天北線  曲淵    1988年



つるべ落としの秋の陽が地平線に沈むと、腕木式信号機が灯す紅が鮮やかな残照の空に浮かんだ。

腕木式信号機は全国で急速に失われていたが、廃止が決まっていた天北線に投資する道理もなく、

ここに生き残っていたのは少し哀しい風景でもあった。


宮沢賢治の「シグナルとシグナレス」は、星空の許に立つ二本の腕木式信号機を男女に見立てた恋物語。 

詳しくはHP参照


恋路に様々な邪魔が入りながらも、クライマックスは信号機同志が手を取り合って銀河を旅する。

賢治独特のめくるめくような宇宙空間の色彩描写が印象的で、リアルな鉄道施設を題材にしながら、

現実と幻想の間を行き来するような不思議な作品だ。


宮沢賢治という人は元来地学・農学に通じた科学者だった訳で、そういった純理系な側面と幻想文学の紡ぎ手という

ギャップが良く論じられるが、世の事象に対するやはり科学者らしい精緻な観察眼の裏打ちを感ずるところもある。

「シグナルとシグナレス」も、腕木式信号機の遠隔操作を観察する中で、何かそこに「意志あるもの」を感じた事が

モチーフになっているのではと思う。

宇宙空間の描写も然りで、当時では珍しい天体望遠鏡で極彩色の星雲を観察した体験があったのではないだろうか。


曲淵での撮影の後、暗い夜道の峠越えをしなければならない事もあって、そそくさとカメラを仕舞ってしまったが、

やがて満天の星座に囲まれたであろうシグナルを、賢治のように見上げる事が無かったのは心残りだ。




鳥取は米子のイベントホールで、「星空コンサート」と題して「シグナルとシグナレス」の朗読や音楽演奏の夕べが開かれるらしい。

演出家氏から「イメージにピッタリ」との写真提供のオファーがあったので。

聞いてみたい気はするけれど、米子は・・・ちょっと遠いな。












星空ポスターB2out2



HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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風太郎様

嬉しいです
凄い嬉しいです
ワクワクです
ドキドキです
風太郎様のお写真が・・・・
星空コンサートのポスターになっています
それも「シグナルとシグナレス」の朗読や音楽演奏の夕べ・・・・

お写真 まさしく宮沢賢治の「シグナルとシグナレス」にぴったりです

「やがて満天の星座に囲まれたであろうシグナルを
賢治のように見上げる事が無かったのは心残りだ」

その心残りが生涯にならないように
もう 一度 天北線に行って下さい
最北の地に行って下さい
今でも本線の信号機 シグナルはあるのでしょう・・・・
それとも もうないのでしょうか・・・

風太郎様がお写真のシグナルの上に乗ることが出来たらよいなと思います
銀河の世界に出会えそうです
シグナレスとを見ることも出来るような気がします

以前 HPでシグナルとシグナレスの記事を読んだ時 私には喜びでした
それは 私の愛読書でもあったからです

 
[ 2014/06/26 22:03 ] [ 編集 ]

夢の跡

りら さま

何の目的も無く、ただ自分の気持ちのままに撮った写真が、
数十年を経て人様のお役に立つとは不思議な感じがします。

天北線も曲淵駅も今はありません。
駅や線路が何処にあったのかも分からない程原野に還り、
野辺の草花に埋もれていると思います。
当然ながらシグナルも跡形もないでしょう。

それがローカル線の末路です。
残念ながらあまり行きたいとは思いませんね。
思い出のまま残しておきたいです。

ただ星空だけは、何も変わらないのかも知れませんね。

[ 2014/06/26 22:33 ] [ 編集 ]

いつものお見事な夕景写真はこの頃から培われていらしたのですね。
日没直後の赤い空から濃紺の闇夜へと移りゆくグラデーションが美しいです。
腕木式信号機の赤い光が魅惑の世界に引き込みます。

この素晴らしいお写真を更に最大限に生かしたポスターのデザインも見事ですね。
もう少し近ければ私も出かけたくなります。
[ 2014/06/27 04:35 ] [ 編集 ]

腕木式信号機

風太郎さま

宵の帳に吸い込まれていきそうなシグナル。
かつて電関人が追い求めた鉄道原風景も、
宮澤文学によって美しく昇華されて・・・。
こんなに狭い国土に張り巡らされた鉄路は
やがて自然へと朽ち立ち還らんとす。
人の野望や営みがその輪廻に追従し永遠の
自然の配下へと。
悲しいほど美しい景観をまた何処かへ。
[ 2014/06/27 08:42 ] [ 編集 ]

こんにちは

シグナルとシグナレス
私も腕木式信号機見るたびにいつも思いだします
何度も何度も読み返しては そのときどきそのつど心に引っかかるコトバもかわりました
恋物語に仕立ててありましたけれど
シグナレスの「自分はこんなにつまらない」というコトバを口にするまでの気持ちを なんども思いめぐらせてしまっています

それにしても ぬくもりのある物語になるほどのモノが 少し前までの時代にはたくさんありましたね

[ 2014/06/27 09:47 ] [ 編集 ]

そういえば、最近何気なく見ていたTVで
「サンライズ出雲の話題が出ていました。

最近、女性に人気なのだとか。
仕事を終えてから、乗り込んで目覚めたら出雲。
縁結び祈願の週末なんて。

寝台列車も少なくなってるし
たまには列車で一泊もいいな…

この写真をポスターを見てそう思いました。
ただ、お金と時間がねえ~現実的な私・・・(笑)
[ 2014/06/27 15:54 ] [ 編集 ]

銀塩ポジフィルム

はせがわさま

旅の空で眺める夕焼けはまた特別な感傷もあり・・・。好きでしたね、夕日の風景は。
銀塩ポジフィルムは現像上がりまで予測不能な発色ではありましたが、
深い海底のような発色を見れば胸ときめいたものです。
すぐその場で確認出来るデジタルには無い楽しみでした。
[ 2014/06/27 21:17 ] [ 編集 ]

追憶の風景

狂電関人 さま

今やかつて見た追憶の風景に遊ぶしかないのでしょうか。
いやいやまだ探せばあるはず、デジタルの表現力も借りて・・・。
と、まだまだ彷徨いは続きます。
[ 2014/06/27 21:23 ] [ 編集 ]

格差

Jamさま

賢治の時代は、維新以降最も農村が困窮した時代。
地主と小作、貧富の差が大きく拡大した時代でもありました。
恵まれた家庭に生まれながら貧者に寄り添った賢治は、
二本の信号機の「格差」にそんな社会状況も映したのでしょうか。

もう一度、読んでみましょうかね。
[ 2014/06/27 21:44 ] [ 編集 ]

山陰ですかあ。

おぼろ さま

そんな話題に触れられると、私もサンライズの人になりたくなってしまいます。
夏の山陰は光の国のようで、また格別ですし。

ちょっとぐらついて来ましたかね。
[ 2014/06/27 21:48 ] [ 編集 ]

やはり

素晴らしい

めのつけどころちゃいますね!!
私も…主役を何処に置いて撮影するか悩みますが…この写真からは、いろいろなストーリーが頭をよぎります!!

またまた…頑張れそうです(*^^*)
[ 2014/06/28 06:52 ] [ 編集 ]

鉄道のストーリー

くるみさま

広角レンズは主題を明確にしつつ、置かれた環境の説明も出来ますね。

鉄道はその土地の長い歴史や風土と共にあり、旅への憧憬の象徴でもあります。

鉄道のストーリーをどう紡ぐのか、くるみさん流の解釈を期待しております。
[ 2014/06/28 09:43 ] [ 編集 ]

おはようございます

地域的には比較的近い私ですが、土曜日の夕刻に米子というのが少々微妙で...ただ、それまでに1回は一畑電鉄へ撮影に出かけると思いますので、どこかでポスターはぜひ拝見させていただきたいと思います。
鉄道雑誌の掲載と違い、ポスターはより多くの人に見てもらえるのはイイですよね(実は私も過去に地域限定で経験があります。)。

奥行きのある残照のグラデーションに北の大地を感じますね。
私も同様なシチュエーションを置戸駅で撮影したことがありますが、時は既に色灯式シグナル。こうして見るとやはり趣が違います。

残照をはじめ、朝や夕刻の微妙なグラデーションはやはりフィルム時代が良かったと感じるのは私だけでしょうか...。
[ 2014/06/29 10:29 ] [ 編集 ]

銀塩のグラデーション

山岡山 さま

昔から極めて私的な心象風景のつもりで撮っていますので、
コンテストはおろか、他人に理解を求めるような写真の出し方はして来なかったのですが、
思わぬところから声が掛かればまた嬉しい所もありますね。

山間部は初雪もちらついた10月半ばです。
寒さもあって空気がクリアだったのでしょうね。
これはベルビアを使っていますが、定番だったコダクロームとはまた異質な発色に驚いたものです。

ヌメッとしたグラデーションの繋がりはまだまだ銀塩に長があると思いますよ。
こういう写真の時だけ銀塩を持ち出したい位です。

[ 2014/06/29 11:43 ] [ 編集 ]

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