ふるさとの終着駅  ローカル鉄道の旅

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   「ふるさとの終着駅  ローカル鉄道の旅」  
    
    安田就視著   K.K.ベストブック社刊






「冬の北海道は殺人的な厳しさである。ひとたび自然の猛威が爪を立てたら、人も鉄道も駅もこんなちっぽけなものはひとたまりもない。

・・・・・筆者が訪れた時も一寸先も見えない猛吹雪であった。もう少し降ると道路にある鉄の門が閉まり、交通は一切遮断される。

そんな吹雪の夜、汽車の汽笛を聞くとき旅人達は、さいはての旅のもの悲しさを胸の奥まで感じることであろう。

北海道もここまで来ると、ああ遠いところまできてしまったのだなぁ、としみじみ思う。」

 ( 「稚内駅」より )


こんな一節から始まる本書は、筆者が1972年から73年あたりにかけて北から南へ全国の終着駅を回り、

写真と旅心溢れる文章で綴った紀行記である。

稚内もそうだが、自然が人間や鉄道にもっともっと厳しく立ちはだかるような時代だったのだろうと思う。

SLも普段着の姿を見せていた最後の時代。風土も人情も、「その土地らしさ」が色濃く残る日本の片隅の情景が、

一人の旅人の目線で綴られている。

筆者の安田就視氏は、現役SL時代の写真で名を馳せた大御所の一人。




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  宗谷本線 稚内駅   渚滑線 北見滝ノ上駅    湧網線 湧別駅


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  函館本線支線  上砂川駅


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風太郎が本書と出会ったのは中学2年になったばかりの頃、学校の図書室である。

今思えばこんなローカル線の詫び寂びを吟ずるような本が中学の図書室にあるのも不思議だが、

それを夢中になって読み耽る中坊も渋過ぎではある。

世界は自分の身の回り半径数キロしかないような中坊にとって、見る写真や文章は別世界のように思えたし、

到底手が届かないオトナの居場所のようにも思えたけれど、紹介されている全国300駅はあろうかという「終着駅」、

オトナになったらこんな自由な旅の徒然にその全部に足跡をつけたる、という野望もふつふつと湧きあがり。

借りては返しを繰り返していたら国語の教師が貸出票をチェックしていて、「たまには別の本も読んだらあ」。

「生活の潤い」というテーマで日頃楽しいと思っている事を作文に書けという宿題が出たので、

近場のローカル線の日帰り旅行記を書いて出したら、件の国語教師の評は「枯れた文章だね」。

あれは褒められたのか、けなされたのか、今も分からないが、本書の語り口を真似たであろうことは想像に難くない。

どうしても手許に置きたくなって絶版寸前だったのを購入、それから40年近くを経た今も風太郎の本棚に収まっている。


振り返れば風太郎の旅は本書との出会いからその一歩目が始まった気がする。

その年の末、室蘭本線を最後のSL旅客列車が走った。

そんな時代である。


そうそう、その後300駅巡礼はさすがに無理だったが、津々浦々100駅以上は足跡を付けたから、まあ初志は貫徹としておこう。




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  長井線 荒砥駅




HPはこちら
「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2014/09/15 21:33 ] 日々雑感 | TB(0) | CM(14)

バイブル

風太郎さま

まぁ、お互いに様々なバイブルによってその鉄道写真構成術を身に付けて来たものですなぁ!そうそうわが小学校の図書館にも蒸気機関車関連の本が数冊あったのを覚えています。
教員か教務員に好き者がいたんですかね!?(笑)
[ 2014/09/15 22:31 ] [ 編集 ]

旅の本

狂電関人さま

この本は、写真はまあ比較的オーソドックスな撮り方なのですが、やっぱり文章が良かったです。
車の一人旅で全国を回ったようですが、お仕着せの観光旅行と違う旅の楽しさを教わりました。

図書室の鉄系の本は、どうも「裏」を感じるネタが多かった気がしますね。
[ 2014/09/15 23:18 ] [ 編集 ]

歴史をみる

風太郎さんの歴史を垣間見て、深い確かに深いと痛感しました!!

最近始めたちょっとでの私とはちゃいますわ…(*^^*)

風太郎の情熱に負けぬよう…私も頑張ってみますね!

さて、来週末は日田彦山線頑張って来ます…(*^^*)

大阪から、バリ得こだまで

節約節約と…ハハハ(((^^;)
[ 2014/09/16 07:49 ] [ 編集 ]

一冊の本が人生を変えることがありますよね。
もしこの本に出合えていなかったら
今の風太郎さんはいないかもしれない…
風太郎さんの写真を見ることができなかった…
そう思うと、この一冊の本に感謝ですね。

終着駅・始発駅。
雪に閉ざされた孤独の世界。
私もこの本を読んでみたくなりました。
もっともっと若い頃に出会っていたら
私の人生も変わっていたかもしれません。
何かを始めるのに遅いということはない!
私のモットーですが、やはりあるにはありますよね、そういうこと(^-^;

[ 2014/09/16 08:54 ] [ 編集 ]

表現力

こんばんは。

風太郎さまの写真を、より素晴らしく演出する文章は
この時から養われていたのですね。

実は私、風太郎さまのお写真は勿論なんですが、
その文章に魅力を感じておりまして・・・
時に短編小説ばりの内容に感動し、
またある時には言葉の言いまわしに
「おっ」と思ったりしております。
写真を更に素敵なものにする表現力。
これからも素敵なお写真&文章、楽しみにしております。
[ 2014/09/16 22:31 ] [ 編集 ]

今を残してください

くるみさま

振り返れば随分若い頃から粘着しているよなあ、と我ながらあきれるところもありますが(笑)
私の場合、真ん中が20年位空いているのが返って良かったような気がします。

今はすぐに過去になってしまいます。
いつかこんな時代と鉄道があったと懐かしむ時も来るかも知れませんよ。
相変わらずの精力的な取材で、「今」を精一杯記録に残して下さい。
[ 2014/09/16 22:39 ] [ 編集 ]

歳月

おぼろ さま

自分の40年間はあっという間のようで、つい昨日の事のように思えてしまうのですが、
それは結構長い歳月なんですよね。いろいろなものが失われてしまいました。
この本に紹介されている駅も三分の一は既に消えていると思います。
今風の観光キャンペーンで無理矢理強調された地域性では無く、
駅前の何でも屋の店先や、店番のばあちゃんから漂う地域性。
この当時、日本中がそれぞれ違う顔を持っていた事を知らされますし、それらにギリギリ触れられた事は幸せだったかと。

いや過去形ではいけませんね、今は今のリアルを追い続ければ何かが見つかるかと、手探りを続けております。
[ 2014/09/16 22:55 ] [ 編集 ]

コトバのチカラ

いぬばしり さま

駄文を書き散らすのは好きですが、お褒め頂くと照れます(笑)
紀行記を読むのは昔から好きで、廣田さんの旅のエッセイなんか最高ですね。

写真に説明なんか要らない、という意見もありますし、それだけで勝負出来ないのは写真の弱さなのかも知れません。

でもコトバのチカラというものも信じたい気がするのです。
音とか、匂いとか、写真が記録しきれないもの。シャッターを切る時の心のざわめき。

人様にお見せして何かを伝えたいなら、コトバは決して無用なものではないと考えています。

[ 2014/09/16 23:22 ] [ 編集 ]

こんばんは。
当方、拙いブログを公開しておりますが、ちょうど今、数年前に訪れた熱塩駅を記事にしておりました。
こちらのサイトをお伺いし、ご紹介の本に興味を持ちながら拝読する中で、偶々、熱塩駅に蒸気機関車が走った時代のリアリティのある紀行文を見付け、興味深く読ませて頂きました。
自然と情景が浮かぶような文章が素敵でした。
長くご愛読とのこと、私にもその理由が分かるような気がしました。
他の記事も楽しませて頂きます。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/
[ 2014/09/22 22:28 ] [ 編集 ]

初めまして

風旅記さま

初めまして。コメント有難うございます。

写真の読みにくい文字まで読んでいただいたようで恐縮です。
熱塩駅、大好きな駅でした。もう35年前、生まれて初めて泊りがけの一人旅に出たのも熱塩駅訪問が目的でした。
その頃はお化け屋敷のように荒廃していましたが、なぜか故郷のように感じる不思議なオーラを持った駅でしたね。
記念館は一度行った事がありますが、その整備ぶりには驚きました。こんなにも瀟洒な駅だったとは・・・。
もっともっとその価値に早く気付くべきでしたね。

ブログ拝見しました。
全国津々浦々に足跡を付けておられるご様子、羨ましい限りです。
ごく一部しかまだ拝見していませんが、楽しませていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。
[ 2014/09/22 22:58 ] [ 編集 ]

こんにちは。
熱塩駅が現役だった頃に訪問されているのですね。羨ましい限りです。駅舎はボロボロだったようですね。
その頃を知っていればこそ、なお、今の記念館となって手入れされた様子も楽しく見ることができるのではないでしょうか。
私は数年前に初めて、そのとき一度きりの訪問だったのですが、この駅舎の独特な魅力は記憶に強く残っています。
他の記事も楽しませて頂きます。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/
[ 2014/09/23 15:11 ] [ 編集 ]

熱塩駅のロマン

風旅記 さま

日中線や熱塩駅については「昔の旅 国鉄・JR」カテゴリーで時々書いていますので、お時間がありましたら。

記念館で知ったのですが、熱塩駅を建築の専門家が調査したところ、
「メーターモジュール」で設計されている事が分かったそうですね。
つまり伝統的な尺貫法では無く、本格的な洋館設計だったという事です。
設計者の名前も知られていませんが、昭和13年という日中戦争も始まっていた時代、
こんな片田舎に夢とロマンが詰まった建築があるとは、と感動したものです。
改めてじっくり訪問したいですね。
[ 2014/09/23 17:59 ] [ 編集 ]

風太郎様

中学2年になったばかりの頃、学校の図書室
「ふるさとの終着駅  ローカル鉄道の旅」の出会い
借りては返しを繰り返した程魅了された本
どうしても手許に置きたくなって絶版寸前だったのを購入、それから40年近くを経た今も風太郎の本棚に収まっている・・・・
振り返れば風太郎の旅は本書との出会いからその一歩目が始まった気がする・・・・
一冊の本との出会い それが・・・・現在に至っているのですね

その後300駅巡礼はさすがに無理だったが、津々浦々100駅以上は足跡を付けたから、まあ初志は貫徹としておこう。・・・
風太郎様の年齢を考えると・・・・300駅はこれから周れます
信じていますね

近場のローカル線の日帰り旅行記を書いて出したら・・・
そのローカル線はどこでしょうか・・・
差支えがなければ お手数ですがお時間ある時 教えて下さい

今回の記事 感動しました
拝見し忘れたした アップ 見直してみて本当に良かったです




 
[ 2015/07/04 05:38 ] [ 編集 ]

素顔の地方


りらさま

巷に鉄道旅行本が溢れる昨今ですが、この当時は趣味で鉄道を撮ったり乗ったりする事自体が奇特な事で、
そんな人間を相手にしても何の経済効果も有りませんから、
訪問される側、鉄道はもちろん、それが走るマチやムラも媚びる事の無い普段通りの顔を見せていました。
この当時の本は、マーケティングに漬かっていない素顔の「地方」にまるで異邦人のように紛れ込み、
そこに流れる空気を素直に綴ったものが多かったですね。

だからこそその世界に憧れましたし、そこを旅する意味があったのだろうと思います。

今もマーケティングとは違う素顔の地方もあるのだろうと思います。それを探して彷徨っているのかも知れません。

日帰り旅行記は・・・今は立派な通勤路線になった相模線の支線にある終着駅を訪ねた時のものです。
残念ながら30年位前に廃止になっています。
300駅のうち三分の一位は既にありません。行きたくても行けないのです。
[ 2015/07/04 12:20 ] [ 編集 ]

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