北紀行  その6      山線残照①  上目名あたり

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   函館本線  旧上目名駅付近の集落跡       2015年1月




ローカル線の生活列車に執着してきた風太郎としては、優等列車が行き交う大幹線はやっぱり尻の座りが悪い。

一応北海道夜行を押さえるという目的は達したので、本来のフィールドに戻ることする。

本当は日高本線だったのだが、アレでは仕方が無く、向かった先は山線。

かつての北海道鉄道の大動脈をローカル線と言っては失礼かもしれないが、実際そうなのだから仕方がない。

全盛期の栄光を知る人にとっては嘆き節にも満ちた山線だけれど、今に残る残照があるならばその欠片でも見つけたいじゃないか。

風太郎にとっても30年振りの山線である。そんな記憶の断片も探しつつ。



上目名。

C62に青春の血をたぎらせた世代には忘れられない駅だろう。

風太郎としては残された写真で往時を偲ぶばかりだが、やっぱり最高の一枚に思えるのは

廣田尚敬氏の「上目名のC62」において他にあるまい。

吹雪を突いて驀進するC62を真正面から、本当に轢かれそうで思わず後ずさりしたくなるような、異様な迫力に満ちた一枚。

ニコンFに200mmF4、それに2倍と1.4倍のテレコンを二段重ねし、アウトカーブから引っ張ったらしいが、

ファインダーはほとんど真っ暗だったのではないかと思われ、置ピンではなくピントを送っている形跡まであるとなれば、

まさに為せばなるの技と言うか、最近の機材の性能云々に耽溺した風潮が恥ずかしくもなる。


付近の線形を見れば峠越えは急曲線の連続、50㎞位の速度制限が定められていたらしいが、

その速度まで落としたらその先に控えるトンネル内で空転立往生必至だったという。

まさに機関車の限界点に挑んだ機関士達の技と豪胆が試される、輝かしい鉄道全盛の日々の記憶を秘めた土地。


今、上目名駅は廃止され、その名残りはスノーシェードに宿るのみである。

シェードへと続く雪原に延びた一本道は保線の用しか為していないようだ。

傍らには離農した酪農一家の生活の痕跡が微かに蒼空の下に埋もれる。





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上目名駅のエピソードも数多く、「トンネル通行の許可を駅長からもらい」、ご親切にカンテラまで貸してくれたという話まで聞けば、

「自己責任」などという至極当然のルールを持ち出すまでも無く、社会が大人だったとの想いは深い。

またそれは「おもてなし」などと構えるものでもなく、遠来の客を迎える素朴な心根の暖かさがあっての事だろう。


上目名駅は1984年まで存続、最後まで運転要員の駅長はいたというから惜しい事をした。

信号場の機能もあったから、客扱いが全てでは無いが、年々利用者が減り続け、最後は高校に通う駅長の娘が最後の乗客になり、

その卒業を待って無人化されたという何とも泣ける逸話もあるらしい。

雪深い山中で孤独に駅を守った駅長一家の暮らしはいかばかりだったのか、その一端にでも触れてみたかった気がする。


「上目名のC62」のオマージュでもと思っていたところもあったのだが、駅も失われた今、峠道は線路際に近づく事さえままならなかった。

少し目名に向けて下った辺りで。

線路を見下ろすニセコ連山南端の峰々だけは、何も変わらないのだろうか。





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    函館本線  目名      2015年1月





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[ 2015/02/15 20:09 ] 最近の旅 北海道 | TB(0) | CM(10)

上目名…、

そのネームバリューから蒸気機関車が退役した十数年後、凸凸牽引の14系「ニセコ」撮るため憧れの地に礼賛しました。
乗ってきた下り客レが上りDCと交換するため撮った写真が後にも先にも上目名駅を撮った写真となりました。
当時、待合室にはC62時代のアルバムがありました。
優等列車が通わなくなりすっかりローカル線へと転じた函館山線、一抹の寂しさがありますが、これが社会の厳しい現実なのでしょうね。
[ 2015/02/15 20:57 ] [ 編集 ]

上目名

32Countさま

在りし日の上目名を訪ねていたとは羨ましい限りです。
DDニセコを撮った写真も残されているのでしょうね。是非拝見したいものです。
山線、すっかり寂しくなっていましたね。
倶知安以遠は小樽にも近いですし、それなりの利用客もと思っていましたが、
だからこそより都会になびいてしまうのかも知れません。
[ 2015/02/15 22:16 ] [ 編集 ]

山線

風太郎さま

C62時代とまでは当然行かないまでも、
なんとか煙の山線で、約30年ぶりのリベンジを
昨秋に達成しました~(汗)
尚敬巨匠の作品にはド肝を抜かれますね!!
[ 2015/02/16 20:17 ] [ 編集 ]

風太郎様

一枚目のお写真
現在 集落はもはや存在しないようですが・・・
風太郎様の目にはこの光景をご覧になり
当時の面影を感じることが出来たのではないでしょうか
悲しい程に美しい 大地の白と天空の白です

二枚目のお写真
トンネルがごときに見えますね
その中から見える光景
お写真の中 その光景に向かい歩いていきたい衝動に駆られます

最後のお写真
山並みは これほど雄大であるだけではなく
美麗だったのだと感じずにはいられません
大きな雲は撮影者にエールをおくるかのようです
二両編成の列車
風太郎様ならではの 個性ある描写
ブログ再開して良かったと 真実思える瞬間です
[ 2015/02/16 21:15 ] [ 編集 ]

偉大なるローカル線

狂電関人さま

山線にC11とはこれいかにと思いましたが、地元に経済効果をもたらすならそれもありかも知れません。
30年前の訪問は倶知安~銀山あたりを軽くナメただけでしたが、
今回は大分沿線を見て回る事が出来ました。それでも通り一遍の撮影に過ぎませんが。
偉大なるローカル線になりましたね。
[ 2015/02/16 22:05 ] [ 編集 ]

夢のあと

こんばんは。

山線は本当にローカル線に成り下がってしまいましたね。
まさに「兵達が夢のあと」状態ですかね。

因みに私の山線と言えば、厳冬期に乗った夜行41列車です。
SGで暖められた硬いシートが今でも印象に残っております。
その頃は、まだニセコや北海とかも走っていました。

廣田尚敬さんのC62真正面写真、私も凄く刺激を受けましたよ。
「Fの時代」を見て、私も蒸気機関車を撮り始めたくらいですから。
[ 2015/02/16 22:08 ] [ 編集 ]

悲しい程に美しく

りらさま

悲しい程に美しい、好きな言葉ですが、旅に出るとそんな風景に出会う事が多いですね。
青い空と白き峰はまるで天国に居るようで、でもそこに暮らす人にはしばしば過酷で夢破れる土地でもある事の皮肉。
旅は世の中のそんな不条理を知る体験でもあります。
どんな土地にもその土地にしかない幸せが存在してくれれば良いのですが。

[ 2015/02/16 22:14 ] [ 編集 ]

山線今昔

いぬばしりさま

41列車ですか、懐かしい。
記録を付けていないのでよく分かりませんが、私も乗ったかも知れません。
優等列車もそうですが、生活列車も雑形客車を連ねた重々しい列車が峠を往復していましたね。
キハの単行ばかりが目立つ今、あれは何かの幻だったかのように感じるほどです。

「Fの時代」、私も持っていますよ。
立て続けに刊行された氏の蔵出し写真、こんなものまで撮っていたかとあきれるやら羨ましいやら。
凄い人です。

[ 2015/02/16 23:23 ] [ 編集 ]

こんにちは

ついこのあいだ 息子が山線を列車で回っていました
いましかできないからと日にち都合付けてひたすら列車に揺られていたようです

車窓写真は北海道どこもそんなに変化はないのだけれど ひとつひとつ説明を聞くたびに 此処はなになにの名残だとか 此処はこれからこうなる予定だとか そんなモノが増えたような気がしています
 
離農の跡を見て過ぎることが年々つらく感じます
もうずっと見慣れた風景なのですけれど
自分にとって大切なモノとか なくなってほしくないものばかりがなくなっていくような気がして
・・・歳とりました(笑) 
[ 2015/02/17 19:13 ] [ 編集 ]

人間の土地

Jamさま

息子さんもご就職のようですし、最後の思い出作りでしょうか。
きっと生涯の思い出になると思いますよ。

石積みのサイロは頑丈なのか、風雪に耐え、ここに暮らしありきという碑のようですね。
木造の廃屋は30年前も良く見ましたが、最近では朽ち果てたのか、あまり見なくなった気もします。
この家の家族は満天の星空を見ながら眠りについたのでしょうか。

開拓者に鉄道員、人間の歴史を秘めた土地に興味は尽きませんし、
それこそが旅するべき場所と思うのです。

[ 2015/02/17 20:03 ] [ 編集 ]

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