北紀行  その19      秘境駅 豊ヶ岡 ②    絵本の中へ

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   札沼線  豊ヶ岡     2015年2月 




トワイライトタイムも終わりに近づき、駅はまるで深海の底に沈むかのようだった。

流れるのは自分の足音すら聞こえて来ない、限りなく静謐な時間。

覆い被さるような森の木々と、雪面を妖しく色彩る水銀灯。それらが混然となって摩訶不思議な世界へと誘う。

それは幼い頃に開いた絵本の中にある、恐ろしい獣やおどろおどろしい森の精が跋扈する、夜の森の物語。


酔ったな風太郎、と言うなかれ。この奇妙な感覚は、この時たった一人でここに佇んだ者にしか分かるまい。






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めくるめくような夜への時間に耽溺するうち、突然我に返る。   「ヤバイ。」



帰り道である。

森の小道は既に闇に包まれつつある。先にも書いたが途中に街灯などひとつも無いのだ。

鼻をつままれても分からない真の闇という奴は、本格的な山屋でもない風太郎はほとんど経験が無い。

太古から受け継がれていたはずのDNAがとうに磨滅した都会人にとって、闇はあまりに怖いのだ。

こんな事もあろうかと風太郎のカメラバックにはヘッドランプが常備されているのだが、

それが放つか細い光は、森の漆黒に抗うには心細すぎた。

目が慣れて来るにつれ微かに見える踏み跡を頼りに、車に辿り着いた時には本当に安堵したものだ。


夜の豊ヶ岡。それは既に駅である事を止め、妖しい森の住人達の宴の場となっているのかも知れない。






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「風太郎の1980年田舎列車の旅」

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[ 2015/03/10 20:37 ] 最近の旅 北海道 | TB(0) | CM(6)

風太郎様

一枚目のお写真
本当に・・・・
絵本の世界
絵本作家は 風太郎様ですよね
この絵本の一ページにある
可愛い山小屋のような駅舎
そこにある照明から放たれる光
それは白の地にイルミをもたらしています
ささやかではあるけれど・・・・
忘却できはしないでしょう
この絵本の可愛い駅舎の中
忍びこんでみたい 誘惑にかられます
今宵 ひと夜だけ 無人駅にはさせません

嫉妬を感じる程好きなお写真です

二枚目でのお写真にてホームの全容が理解に及ぶました
有難う

「風太郎のカメラバックにはヘッドランプが常備」
私のカメラバックのディズニーのストラップ常備とは大違いですね
思わず 頬が緩みました
ごめんなさいね・・・・
尊敬に変わりはありません

[ 2015/03/10 21:22 ] [ 編集 ]

至福の時間

りらさま

多分、りらさんの琴線には触れるものと期待しておりました(笑)
夜の闇は全てを覆い尽くしてしまいますが、その僅か手前のトワイライトタイムは、
ちょっと現実離れしたような不思議な色彩の世界に遊ばせてくれますね。
デジタルセンサーのマジックも加わっているのですが、
それを味わえるのも写真撮りの特権ですし、至福の時間でもあります。

言葉にするのも難しいような、不思議な時間でした。

バックの中身に色気はありませんが、人気の無い所ばかり踏み込む故、
最低限のサバイバルグッズは備えています。
熊除け鈴に呼子の笛までいろいろ出て来まっせ。
[ 2015/03/10 22:15 ] [ 編集 ]

旅への誘い

見てはいけないものを見てしまいました。「未踏の札沼線はまだ生きている」+「こんな不思議な時間が流れている」=「行くしかない」という公式が頭を支配しています。

廃止路線も含めて北海道の路線は殆ど乗りつぶしていますが、札沼線は数少ない未踏区間が残っている路線です。私の思い描いていた札沼線はもっと田園地帯です。認識が間違っていました。
大きすぎず、小さすぎもしない木々の林の中に、こんな駅舎がありましたか。こんな電灯がありましたか。雪の夕暮れ、まさに絵本の世界ですね。

勿論、風太郎さまのテクニックで大いに演出されていることは重々承知しておりますが、札沼線には、一度行かないと気が済まない気分になってきました。旅のきっかけは、いつも1枚の写真からです。
[ 2015/03/11 01:49 ] [ 編集 ]

秘境駅

風太郎さま

おっしゃる通り、暗がりの札沼線を往復するだけでは
あまりにもつまらなく駅地下で一杯の魅力に負けてしまいました(爆)
しかし、秘境駅で遭難というのだけはやめてくださいね、先輩!(巨爆)
[ 2015/03/11 13:05 ] [ 編集 ]

色温度のマジック

こあらまさま

デジタルより銀塩との付き合いの方がはるかに長い世代としては、
「色温度」は制御不能な要素として楽しみ、苦しめられました。
あっと驚く様な凄い発色になるかと思えば、狙い過ぎてとんだスカの現像上がりだったり。
デジタルになってそんな色温度も制御しやすくなりましたが、
ブルーモーメントや緑色の水銀灯はなかなか目に見えない色だけに、その意外性には今もワクワクさせられます。

そんな色温度のマジックにも助けられましたが、本当に不思議な雰囲気の駅です。
かつて閑散ローカル線の仮乗降場など、皆こんな感じだったのだろうと思うのですが。

旅心に火を点けられたなら幸いです。是非こあらまさん流の豊ヶ岡を拝見したいですね。
[ 2015/03/11 20:28 ] [ 編集 ]

秘境探訪

狂電関人さま

「秘境駅に行って遭難」 もネタとしては面白いです。捜索に来てもらわなきゃ。

駅に通じる唯一の道に全く明かりが無いというのは初めての体験でした。
とはいえ車道まで数百メートルの距離ですから、別にビビる必要も無いような気もしますが、
自宅の裏手に薪を取りに行った主婦が前後不覚になり凍死するような、彼の地の冬ですからねえ。

事前に見た写真では駅舎に貼られた「痴漢・変質者に注意」のポスターがメルヘンに程遠く、
萎え萎えだったのですが、この時は貼ってなくて胸を撫で下ろしました。

「秘境」もなかなか世知辛い世の中のようで。
[ 2015/03/11 20:38 ] [ 編集 ]

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